フィールドインターンシップは、「現場の教育力」を活用する試みで、複数の専門領域に関わる国際的・社会的課題に対して、履修者がグループを形成して国内外を問わず1週間ほどフィールドに滞在し、グループ活動を通じてリーダーシップを養成します。本インターンシップでは、履修者は初めて状況を理解するフィールドにおいて、取得した情報を適切に構造化し、解決可能な問題として定義するとともに、限られた時間内で現場のステークホルダーや異なる専門領域のメンバーと円滑にコミュニケーションを取り実現可能な解決策を立案します。*1
フィールドインターンシップには、本プログラムが企画するプログラム主導型と、履修者の所属する研究室が企画する研究室主導型とがあります。
これまでにプログラム主導型として実施されたテーマは次のとおりです。
テーマ一覧(プログラム主導型)
Title / タイトル | Year / 実施年度 |
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スバック保護に向けた企業のCSRの設計 CSR Design for Subak Conservation |
2017年度 In 2017 |
スバック・システムを中心としたサステイナブル・ツーリズムのデザイン Sustainable Tourism Design for Subak System |
2015年度/2016年度 In 2015/2016 |
智頭町のIターン受け入れシステムのデザイン[試行] System Design to Receive I-Turn People in Chizu-Cho [Trial] |
2014年度 In 2014 |
*1: 本科目はデザインスクールin沖縄(修士1年次が中心),デザインスクールin香港(修士2年次が中心)を経て実施するもので、実問題を抱えたフィールドに滞在し、専門家として英語で他領域の専門家や現地のステークホルダーとコミュニケーションを図りながら問題解決を行う点で難度が格段に高くなります。
UNESCOの世界文化遺産に登録されたスバック・システムは、これまで行政主導で保護活動が行われてきた。しかしながら、税金による保護政策では、持続させることが難しいため、民間も巻き込んだ保護活動が求められています。そこで、本インターンシップではスバックの文化財の保護や灌漑施設の保守、スバック構成員のQuality of Lifeの向上といった活動を企業のCSRのロールモデルとして設計し、そのロールモデルに基づいてスバックに優しい企業の選定を行うことを目的とします。
2012年にUNESCOの世界文化遺産に登録されたスバック・システム(伝統的な水利組合)は、バリ・ヒンドゥーの哲学「トリ・ヒタ・カラナ」と結びつき、スバック構成員は農作業だけでなく、水に関わる各種の宗教行事も協同で行っています。このように地元住民の生活と密接な関わりを持つスバックが世界遺産に登録されることで、水田が観光施設に変わり、環境や文化、生活の悪化が懸念されています。そこで、本インターンシップでは従来の枠組みを適応、強化し、文化財を保護しつつ地元住民のQuality of Lifeを向上させるサステイナブル・ツーリズムをデザインすることを目的とします。
鳥取県智頭町山形地区は人口1,000人ほどの地域で、高齢化や過疎化などが伴った典型的な中山間地域であるが、住民自治のもと山形地区振興協議会が設立され特色あるまちづくりが続けられています。近年、鳥取県による移住政策の充実や大規模地震のリスクが小さいといった特性から智頭町への移住者が増えており、本インターンシップでは、智頭町のIターン者受入システムをデザインすることを目的とします。