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General Design Courses
デザイン学共通科目

デザイン学共通科目はQE前に履修する科目で、領域横断的な「デザイン学」の考え方と手法を学び、幅広い視点と柔軟な発想力を培います。次の6科目が提供されます。
①デザイン科学の在り方を問い直し、デザインの基礎理論を解説する「デザイン方法論」
②人工物の概念と、多様な人工物に共通するデザインの原理を明らかにする「アーティファクトデザイン論」
③情報デザインの概念と手法について学ぶ「インフォメーションデザイン論」
④人や社会を対象としたデザインの基礎を学ぶ「組織・コミュニティデザイン論」
⑤エスノグラフィ・シミュレーション・データ分析など、デザインを支える手法を学ぶ「フィールド分析法」
⑥デザインという事象に関わる人間および環境の系の構成についての「デザイン構成論」

複雑なシステムとしての世界に向き合うデザイン方法論

デザイン方法論担当者
工学研究科建築学専攻 門内輝行 教授
工学研究科建築学専攻 神吉紀世子 教授
デザイン学ユニット 中小路久美代 特定教授 他
 
テーマ
デザインの概念・方法論・科学、
人間−環境系のデザイン、
参加と協働によるデザインなど

 

新たなデザインの科学やデザイン方法論を求めて
21世紀を迎えて、デザインの概念や方法が注目を集めています。単に人工物を作ればよかった時代は終わり、人工物相互の関係や人工物と人間・社会・経済・環境との関係などの多様な関係性を創り出すことが課題となっているのです。本講義では、1960年代以降のデザイン方法研究の歴史を踏まえて、複雑なシステムを生成する新たなデザインの科学やデザイン方法論を解説します。

 

驚きや困難を楽しむ心を持って
今日、デザインの対象は要素から関係へ、方法・プロセスはつくることから育てることへ、デザインの主体・行為は個人の営みから多くの人々の協働の営みへと拡大しています。世界は今やつながった複雑なシステムであり、デザイン問題もアートとテクノロジーの統合では解決できず、多種多様なシステムのインテグレーションを可能にする新たなデザイン方法が求められています。デザインは未来の創造に関わるがゆえに、不確かさから逃れることはできません。むしろ驚きは創造的なイノベーションを生成する手がかりを与えてくれるものです。デザイナーには、困難な条件や思わぬ出来事との出会いの中で、自らのフレームさえ問い直す勇気が必要であり、その困難を楽しむ心をもって、新たな時代のデザインに挑戦する意欲が求められます。

 

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これからの「人工物」のあり方を考えるアーティファクトデザイン論

アーティファクトデザイン論担当者
工学研究科機械理工学専攻 椹木哲夫 教授
デザイン学ユニット 中小路久美代 特定教授 他
 
テーマ
人工物の機能やデザイン原理、
ユーザ中心のデザイン など

 

人を内包するシステムのデザインを学ぶ
機械、建築物、情報/社会システムなど、人が使うことを前提に作られた「人工物(アーティファクト)」のデザインを扱います。人工物の意義を歴史的に解説した後に、巨大化、複雑化した今日の人工物について論じ、持続可能性という観点からみてこれからの人工物はどうあるべきかを考えます。自然の法則と人間の目的の両者を併せ持つ事物や現象からなる人工物のシステムについて、リアルな事例を紹介しながら、意図された目的を達成するための機能のデザイン、利用者の立場・視点にたったユーザビリティのデザインに関する方法論を学び、モノ・ヒト・組織が絡む安全文化の問題について議論します。

 

「無限定」の中に「秩序」を見いだす視点を
授業を通じ、リアルな社会問題を解決するにはどんな方法論があるのか、また、どこまで手間をかければコンピュータ解析ができるところまで問題を落とし込めるのかを実感することができるでしょう。履修生には、デザインの目的が、「モノ」を作ることではなく、「系を変化させていく仕組み」を作ることにあることを理解し、大きな社会的影響をもつ問題と身近な問題との「類似と相違」を見極める視点を養うことで、将来各自が就く仕事の上で現実に対処するための思考法を身につけることが望まれます。

 

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情報をデザインする力を身につけるインフォメーションデザイン論

インフォメーションデザイン論担当者
情報学研究科知能情報学専攻 黒橋禎夫 教授
情報学研究科社会情報学専攻 田中克己 教授 他
 
テーマ
情報デザイン、
インタラクションデザイン、
視覚デザイン、情報の可視化 など

 

専門家と語り合う機会も
情報デザインとは、情報を対象者に的確に伝えるための手法、人間とモノや環境との関係性にかたちを与える方法論、生活の中にあふれる無数の情報をわかりやすく提示する手法、要するに、情報を効果的に伝達するために、その情報を分類・構造化・可視化し対象者が理解しやすい形にすることです。この講義では、グラフィックデザイン、インフォグラフィックス等に加えて、情報の構造化・可視化、言語表現、映像表現、インタフェースデザインも対象として、情報デザインのための技術・方法論を学びます。この講義の目的は、情報をどのように構造化するか、どのように映像を作るか、あるいは言葉で表現するかなど「情報のデザイン」ができる人の育成に寄与することです。そのため、教員による講義だけではなく、言語学者やグラフィックデザイナー、ITやアイソタイプの専門家など、さまざまなゲスト講師が学生と語り合い、考える機会を設けています。

 

「渡り」と「景」をトータルに学ぶ
コンピュータ技術者が作ったアプリケーションやインタフェースが使いにくいといわれるのは、情報を伝えることをトータルに考えていないからです。千利休に、茶室へと向かう庭のデザイン(飛び石等)は「渡り六分、景四分」という言葉があります。これは「機能性が六割、見た目の良さが四割であるべき」という意味。授業を通じ、「渡り」を学んできた人が「景」の重要性を知り、「景」の専門家が「渡り」を学ぶというように、両側からのアプローチが進むことが期待されます。

 

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社会への視点をもったデザインに挑戦組織・コミュニティデザイン論

組織・コミュニティデザイン論担当者
経営管理大学院 山内 裕 講師
経営管理大学院 松井啓之 教授
人間・環境学研究科共生人間学専攻 杉万俊夫 教授
 
テーマ
社会の変革、仕事のデザイン、
チームのデザイン、
地域コミュニティのデザイン など

 

組織やコミュニティの問題解決に向けて
京都大学デザインスクールの掲げる社会システム・アーキテクチャのデザインを目指すために必須である、ソーシャルな側面への視点を養います。授業は「講義」、「ケース分析」、「フィールドワーク」を組み合せて実施。社会科学の諸理論を理解した上で、実際の組織やコミュニティの状態に照して適用し、社会をモノのように実体化することなくデザインに取り組むことを学びます。

 

現実を深く見つめ、指針を見い出す
ソーシャルデザインを考える時、デザインする人間はクールな外部者にはなりきれません。悶題(もんだい)として立ち現れてくる現実に向かって、対象と研究者が火花を散らして取り組み、指針を見い出していくことが必要です。基本の理論を踏まえつつ、実際の現場に入り、現実との違いに触れ、一度は常識をつぶして「それでも組織・コミュニティは必要か」「必要ならどうやって作るか」というところまで深く考える。その営みを通じて組織やコミュニティのデザインに挑んでいきます。例えば、少子高齢化が著しい過疎地域。廃校になった木造の小学校を拠点に、住民組織が地域の将来デザインに取り組んでいます(写真:鳥取県智頭町)。このような場で実習を行います。

 

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理論に裏付けられたフィールド分析に向けてフィールド分析法

フィールド分析論担当者
情報学研究科社会情報学専攻 守屋和幸 教授
経営管理大学院 松井啓之 教授
経営管理大学院 山内 裕 講師
 
テーマ
フィールド調査のプロセス、
定量分析、
モデリングとシュミレーション など

 

感性だけに頼らないデザインをめざす
製品、サービス、事業などのデザインを行うのに必要なフィールド分析の方法を知るため、エスノグラフィやアンケートなどの調査法の手法を学び、実際のフィールドで活用します。同時に統計解析法などによる定量データの分析を習得。感性だけでなく確固たる理論に根ざしてデザインを行うためのベースを身につけます。

 

エスノグラフィ、アンケート調査、統計処理が3本柱
エスノグラフィは固定観念の枠を外して「じっくりと見て、考える」調査方法です。このことを理解し、観察の視点を身につけていきます。アンケート調査は手法だけを目的にするのではなく「どうやって社会に近づくか」の視点をもって学びます。統計処理は最近話題になっているビッグデータの扱いにも関わる重要な分野です。これらの方法論を関心をもって学ぶことで、履修生それぞれの研究に生かすことができます。

 

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