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文化に着目したサービスデザインの理論と方法論の探究 Service design theory and methodology from a cultural perspective

研究主体
京都大学経営管理大学院

 

代表者
山内 裕(京都大学経営管理大学院・准教授)

 

メンバー
平本 毅(京都大学経営管理大学院・特定助教)
佐藤 那央 (京都大学大学院情報学研究科・博士課程)

 

本プロジェクトでは、サービスを文化的な視点から研究し、サービスデザインの新しいアプローチを提案することを目的としている。一般的には、サービスは顧客のニーズや要求を満たし、満足させること、また笑顔でフレンドリーに居心地のよい時間と空間を作り、心をこめて奉仕することであるとされる。しかし、これはサービスを主観性の観点から捉えており、本来顧客も提供者と一緒に価値の共創を行うサービスという相互主観性の観点からは問題が生じる。我々は、サービスとは自らの力を示し、自らを証明する「承認をめぐる闘い」の過程であると捉えることを提唱している。

我々は、東京の伝統的鮨屋、ファストフード、イタリアン、フレンチレストラン、バーなどで経験的調査をしている。具体的には、エスノメソドロジー・会話分析の考え方に従って、提供者と客の相互行為をビデオ撮影し、詳細に分析する。それにより、例えば鮨屋では、親方が最初に難しい質問を当たり前のように投げかけて客を試し、客はそれに適切に答えようとすることなどが示される。つまり、提供者は自らのサービスを高い水準に定義し、客は背伸びをしてそれにふさわしい人を演じることになる。このような分析により、サービスの相互主観性を明らかにすることができる。

 

ファストフード店での調査のためにウェアラブルカメラを装着している様子

このような経験的分析とそれによる理論構築を基に、サービスデザインの新しいアプローチを探究している。従来のサービスデザインは、人間中心設計やユーザエクスペリエンスのように主観性を前提とした枠組みを継承したため、多くの問題を抱えている。例えば、サービスはわかりやすく、客にストレスを与えないように、一貫した体験をデザインするという。しかしサービスが承認をめぐる闘いであれば、これとは真逆のアプローチが必要となる。つまり、サービスにおいては客にわかりやすく、リラックスしたものは価値を失う。鮨屋でメニュー表を置かないこと、京都の料理屋で読めない掛軸がかかっていること、つまりわからないことがサービスにとっては重要となる。また、サービスは緊張感がある方が、その店の雰囲気や時には味の評価が高くなることが示されている。

サービスデザインは、主観性ではなく、相互主観性として全く新しいアプローチが必要となる。我々の研究は、サービスデザインの実践も交えながら、この新しい方法論を開発している。

 

関連URL
http://www.yamauchi.net

 

出版・受賞など

  1. 山内裕. (2015). 『「闘争」としてのサービス—顧客インタラクションの研究』 中央経済社.
  2. 小林潔司, 原良憲, & 山内裕. (2014). 『日本型クリエイティブ・サービスの時代 「おもてなし」への科学的接近』日本評論社.
  3. Yamauchi, Y., & Hiramoto, T. (2014). Negotiation of Selves in Initial Service Encounters: Conversation Analysis of Sushi. In M. Mochimaru, K. Ueda, & T. Takenaka, Serviceology for Services (pp. 347–353). Springer.

Organization
Graduate School of Management, Kyoto University

 

Project Leader
Yutaka Yamauchi (Associate Professor, Graduate School of Management, Kyoto University)

 

Members
Takeshi Hiramoto (Assistant Professor, Graduate School of Management, Kyoto University)
Nao Sato (Doctoral Student, Graduate School of Informatics, Kyoto University)

 

Related URL
http://www.yamauchi.net

 

Publications and Awards

  1. Yamauchi, Y., & Hiramoto, T. (2014). Negotiation of Selves in Initial Service Encounters: Conversation Analysis of Sushi. In M. Mochimaru, K. Ueda, & T. Takenaka, Serviceology for Services (pp. 347–353). Springer.