研究主体
京都大学情報学研究科 社会情報学専攻
代表者
石田 亨(京都大学情報学研究科・教授)
メンバー
林 冬惠(京都大学情報学研究科・特定助教)
大谷 雅之(京都大学情報学研究科・特定研究員)
本プロジェクトは、日本の農業専門家がベトナムの農家に、稲作に関する助言をリアルタイムに伝達することを目的とする。日本の農業専門家はベトナムの現地を頻繁に訪問することはできないため、情報通信技術を用いて農業専門家を支援することを考える。問題は、ベトナムの農家はコンピュータを使えないのに加え、識字率が低いことである。そこで、インターネット上の言語サービス基盤の構築を行っている我々と、国際的な児童教育を専門とするNPOパンゲアが中心となって、農家の子ども達にコンピュータと稲作の教育を行い、子ども達を仲介して農業専門家と農家を結びつけることとした。これを、YMC-Viet(Youth Mediated Communication – Vietnam)と呼ぶ。農業専門家としては、東京大学、東京農業大学、三重大学が参加している。また、ベトナム農水省、ヴィンロン省の全面的協力を得ている。
第1回目の実証実験が2011年2月から同年3月、第2回目が2012年10月から翌年1月、第3回目が2013年9月から翌年1月、第4回目が2014年3月から6月に、ヴィンロン省のティエンミー村およびドンタン村で実施されたが、後者は特に識字率の低い地域である。実験では、子ども達は携帯電話を使い水田の写真を撮る。また、気温や歯の色、虫や病気の状況を調べる。つまり、子ども達がセンサーとなるのである。こうした調査結果を基に、子ども達はコミュニティセンターに集まり、 パソコンを使用して日本の農業専門家と対話する。ベトナム語と日本語の翻訳には、我々が開発し運営している言語グリッドが用いられている。
言語グリッドは、言語に関するWebサービスを共有し、組み合わせることができる多言語サービス基盤である。言語グリッドによって、日本語からベトナム語への機械翻訳と稲作や農業に関する辞書・用例対訳を組み合わせ、農業支援に特化した翻訳を実現している。本プロジェクトは、総務省ICT重点3分野途上国向けモデル事業(ユビキタス・アライアンス・プロジェクト)、JST戦略的創造研究推進事業(問題解決型サービス科学研究開発プログラム)の助成を受けた。
関連URL
http://www.ai.soc.i.kyoto-u.ac.jp/communication_design.html
出版・受賞など
Organization
Department of Social Informatics, Graduate School of Informatics, Kyoto University
Project Leader
Toru Ishida (Professor, Graduate School of Informatics, Kyoto University)
Members
Donghui Lin (Assistant Professor, Graduate School of Informatics, Kyoto University)
Masayuki Otani (Researcher, Graduate School of Informatics, Kyoto University)
Related URL
http://www.ai.soc.i.kyoto-u.ac.jp/communication_design.html
Publications and Awards