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デザイン学の起点

デザイン学の起点は、情報学の視点に限れば、1970年頃ではないかと思われます。経済学、意思決定論、人工知能に大きな業績を残したHerbert A. Simon氏は、その著書で以下のように述べています。

人類固有の研究課題は,人間そのものであるといわれてきた.しかし私は,人間というもの,少なくとも人間の知的側面が比較的単純であること,および人間の行動の複雑さの大部分は,環境からあるいは優れたデザインを探索する努力から生じてくることを述べてきた.もしも私の主張が正しいとするならば,技術教育に関する専門的な一分野としてのみならず,全ての教養人の中心的な学問の一つとして,人間の固有の研究領域はデザインの科学にほかならない.(Herbert A. Simon, The Sciences of the Artificial. 1969)

人の意思決定、問題解決過程を考え抜いた研究者だから言えることなのでしょう。人の複雑な振る舞いを理解しようと思えば、人が行う探索的なデザイン活動を理解しなければならないと述べています。同じころ、京都大学の梅棹忠夫氏は以下のように述べています。

物質,材料そのものを開発する手段は非常に発展した.エネルギーも十分満ち足りるほどでてきた.ただ,一番の問題は,それをどう組みあわせるかというデザインの問題だ.そうすると,情報産業時代ということは,いわばそれは設計の時代であり,あるいはデザイン産業の時代だ.情報産業時代における設計人あるいはデザイナーという存在は,産業の肝心のところを全部にぎっているものである,そういうことになるのではないでしょうか.(梅棹忠夫著作集 情報産業社会におけるデザイナー,1970)

この講演から40年の間に、地球規模の制約や,技術・文化・経済・政治の連関が強まり、 最適な要素の組み合わせを求めるのは、容易なことではなくなりました。社会のシステムやアーキテクチャのデザインは、複雑に関係し合う重層的な問題となってきています。いずれにせよ、分野が異なる二人の優れた研究者が、同じ時期に、デザイン学とデザイン産業を、情報学と情報産業の発展形として議論していることには驚かされます。

H. A. Simon: Sciences of the Artificial Third Edition, (1996), The MIT Press.
(稲葉元吉, 吉原英樹訳:システムの科学, (1999), パーソナルメディア.)

梅棹忠夫: 情報産業社会におけるデザイナー, 梅棹忠夫著作集第14巻 「情報と文明」, (1970), 中央公論社.