1. Our "Design"
    デザイン学とデザインスクール
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    デザインスクール基金

Message

門内 輝行門内 輝行 / Teruyuki Monnai 京都大学工学研究科 建築学専攻 教授
デザインスクール代表 (2012.11.1-2016.3.31)
Professor, Department of Architecture and Architectural Engineering, Graduate School of Engineering, Kyoto University
Representative of Design School (2012.11.1-2016.3.31)

現代社会では、人工物の大量生産・大量消費が進み、かけがえのない地球環境の破壊、資源・エネルギーの枯渇、美しい都市景観や個性的な地域文化の喪失など、人類の未来に深刻な影響を及ぼす問題群が噴出しています。これらの問題を解くためには、単体としての人工物を超えて、人工物相互の関係、人工物と人間・環境との関係、人間相互の関係などの「関係性のデザイン」を通して、豊かな生命と暮らしを育む環境や社会のシステムを生成していく必要があります。こうしてデザイン対象を複合的なシステムへと拡大することは、デザイン概念を大きく拡張します。新しい人工物を創るだけでなく、既存の人工物を保存・再生することも、何もつくらないことさえも選択肢に含まれるようになるからです。このときデザインの世界は、人工物中心デザインから、サービスや経験の創出を目指す「人間中心デザイン」へと広がっています。

デザインの進化をふり返ると、最初は使う人がつくる人でもあり、そこからつくる人がクラフトマンとして分化し、近代以降の科学技術の発展に伴い、つくることから考えることが分離し、考える役割を担うデザイナーが確立してきたと言えます。町家や集落の機能的で美しい造形は、長い時間をかけて多くの人々に使用され、環境に適応するように進化をとげた結果ですが、それに対して現代の多くのデザインでは、伝統社会を支えてきた人工物を「育てるプロセス」が失われていることが分かります。

また、複雑なデザイン問題を解決するためには、他者や状況からの応答に耳を傾けながら柔軟にデザインを進める「対話によるデザイン」が不可欠であり、多くの異質な主体の「コラボレーション」としてデザインプロセスを展開する必要があります。さらにそこでも、イノベーションを可能にし、美的・文化的価値を生み出す「創造性」が重要な意味を持つことは言うまでもありません。

京都大学では、以上のような21世紀社会が求めるデザインの世界を拓く人材の育成を目指して、「デザイン学大学院連携プログラム」を開始します。20世紀初めに技術と芸術の統合として成立したデザインは、バウハウスなどのデザインスクールを通して社会に浸透しましたが、情報化社会を迎えて、スタンフォード大学、アールト大学など世界各地で、新たなデザイン概念に基づくデザインスクールが設立されています。リーディングプログラムを推進する活動としての「京都大学デザインスクール」は、こうした世界的なデザイン潮流を先導する役割を担うことになります。

さらに京都大学デザインスクールを可視化するために、京都リサーチパーク(KRP)に「デザインイノベーション拠点」を開設します。これは産官学連携、国際連携のもとで、異領域の専門家が協働して未来を創造する場です。学生の皆さん、及び産業界や公的機関の皆様には、拠点を大いに活用して、社会の実問題と向き合い、多くの興味深い人々との出会いを楽しんでください。そしてこの拠点から、世界をリードするデザイン能力を備えた優れた人材が数多く育つことを期待しています。

石田 亨石田 亨 / Toru Ishida 京都大学情報学研究科 社会情報学専攻 教授
リーディングプログラムコーディネータ
Professor, Department of Social Informatics, Graduate School of Informatics, Kyoto University
Leading Program Coordinator

京都大学は2013年4月から、「デザイン学」を修得するための5年一貫の博士課程リーディングプログラムを開始します。この検討は、2011年1月に遡ります。東日本大震災の直前の日曜日(3月6日)には、「デザインスクールのデザイン」ワークショップが開催され、20名の教員が集まり、熱心に議論を展開しました。その際に合意された「社会のシステムやアーキテクチャをデザインする」という方向性は、京都大学のデザイン概念を表しています。つまり、京都大学におけるデザインとは、意匠ではなく、社会の問題発見と問題解決なのです。そして、その方向性は、震災によって確信となりました。

2年間に及ぶ準備期間に実施された、サマーデザインスクールやスプリングデザインスクールには、休み期間中であったにも関わらず、また、単位と関係がなかったにも関わらず、100名を超える学生や教員が集まりました。特に、2011年のサマースクールの学生評価は圧倒的でした。「期待を超える」が6割を超え、「再度参加したい」が8割を超えるなど、実施した教員も驚くほどの支持を得ました。「社会の実問題を異なる専門の協働で解く」という実践型の教育は、社会が大学に求めているだけでなく、学生も求めていることを実感しました。

学生の皆さんは、入学した専攻とリーディングプログラムの関係に戸惑うかもしれません。誤解を恐れず単純化して言えば、皆さんが入学した情報学、工学、教育学、経営管理の大学院での学修に加えて、デザイン学を「余分に学んで」頂きたいのです。デザイン学を学ぶことによって、他の専門領域の人たちと協働し、社会の実問題を発見し解決する能力を身に付けてほしいのです。デザイン学が提供する挑戦的な教育内容は、皆さんの知的好奇心を激しく刺激し、「余分に学ぶ」ことをものともせず、社会の実問題へと向かう意欲を奮い立たせると確信しています。

産業界の皆さまには、新たな教育プログラムにチャレンジする学生たちを、大学と共に育てて頂くようお願いします。「深い専門性を備えつつ横連携できる人材」は貴重です。そうした人材を育成し、社会の原動力とするためには、大学と企業との連携が必要です。チャレンジ精神に溢れた若者が学び活躍できる社会を創るためには、新たな産学連携モデルを生み出さねばなりません。おそらくそれは、シリコンバレーからの借り物ではなく、日本の風土や文化に根差したモデルでなければならないでしょう。このリーディングプログラムを、危機感を共有できる産と学が集まる場としていきたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。

椹木 哲夫椹木 哲夫 / Tetsuo Sawaragi 京都大学工学研究科 機械理工学専攻 教授
デザイン学ユニット長 (2014.04.01-2015.03.31)
Professor, Graduate School of Engineering Department of Mechanical Engineering and Science, Kyoto University
Chairperson of Unit of Design (2014.04.01-2015.03.31)

機械、建築物、情報システム、そして社会システムなど、私たちの身の回りには数えきれない人工物が溢れています。では自然物と人工物を分けるのは何でしょうか。それは、人工物は作られるだけでなく使われるものだということです。そこには人間の意図が込められており、それはもともと存在していた自然物とは違う効果を、人間を含む外界に対して与えています。ドナルド・A・ノーマンはデザインを「個人と社会のニーズを満たすための環境の周到な形成」と定義づけていますが、人工物のデザインでは、人間との関係を抜きには語れず、作られたものが使われることで、どのような新しい関係の総体を生み出すかを考えていかねばなりません。皆さんはこれまでも、機械的、数学的な最適化の方法やアルゴリズムの適用によって最適な設計解が求められることを信じて疑って来なかったかも知れません。しかし、作られたものがどう使われるかを考えて行くためにはそれだけでは不十分で、情報学・機械工学・建築学・経営学の緻密さや厳密さに加えて、社会的インタラクションへの理解、芸術の審美性を結びつける新しいアプローチが必要となってきます。デザインに責任をもてる人材は、分野を超えてコラボができるジェネラリストでなければなりません。そして個々の構成要素が適切で実用的であることを保証できる専門家達に支援を依頼できる能力や、新しい全体を生み出すための人工物の総体をまとめて眺められる視点が求められます。

京都の街には、産業や文化、そして学術の多様性を一つにまとめる何かがあります。これを可能にしているは、異なるものや異質なものを鵜呑みにしたり闇雲に排撃したりするのではなく、これらの差異を自らの論理と突き合わせて普遍を探り、共生の道を見出そうとするしたたかな気質であり、一つの要素のもつ相互関連性をあらゆる角度からダイナミックに捉えていこうとするしなやかな姿勢です。そしてこれこそが、「京都学派」として連綿と受け継がれて来た京都大学の伝統でもあります。現場に出かけることで自ら感じ取るものから既成の体系を捉え直し、経験の内面化を重視する思索に基づいた本学伝統のフィールド指向の学習が、いままさにデザインにおいても求められているのです。

私たちのリーディング大学院では、産・官・学で展開されるフィールドに直に向き合い、社会の実問題の発見と解決に向けた実践型教育を推進すべく、進取の気性に溢れた京都の地から「京都デザイン学」を提唱して世界に向けて発信して参ります。デザイン学を履修する学生の皆さんには、これまでそれぞれの学部で経験して来た学習の延長だけではなく、自身の専門分野と思い込んできた領域以外からの学びも実践して貰います。現実の問題を突きつけられたところでは、自らが敷いて来た専門分野の境界がいかに無意味なものであるかを自覚することになるでしょう。このプログラムを通して、皆さんが己の知識から脱却し、融通無碍に対処できる能力を涵養して、より広い将来ビジョンを描けるようになることを確信しています。ビジョンを持たずして最高学府を修了することは悔いるべきことです。是非、果敢にチャレンジされることを期待しています。

Message from Partner※所属は2013年3月現在のものです
  • 天野 直樹 様 天野 直樹 株式会社竹中工務店 専務執行役員

    建築は極めて個別的でバナキュラーですが、情報や医療といった人間を取り巻く世界では新しい価値や恩恵を生み出すハードとソフトを一体的に実現しようとするこれまでにないイノベーションが起こっています。本プログラムにおける既存の学の領域を超えたデザイン学の取り組みにより、要素技術開発だけのコモディティトラップに陥らず、「新しい社会のありよう」を提示できるアイデアが生まれ出ることを期待しています。

  • Mr. Bruce MacGregor Bruce MacGregor IDEO Managing Partner Asia

    IDEO is excited about the new design program at Kyoto University. The unique and innovative program will provide the students with the experiences to learn and apply a diverse set of design and creative skills to solving todays business and social questions. These are the skills we look for at IDEO and we are looking forward to working together to develop a strong program.

  • 深田 浩嗣 様 / Koji Fukada 深田 浩嗣 株式会社ゆめみ 代表取締役社長
    Yumemi, Inc. President

    1つの専門領域のみから回答が得られる問題は、実際の世の中にはそんなに多くはありません。解決できる問題の幅を広めるための専門性の獲得とともに、大胆で独創的なデザインを実践出来るだけの胆力を持った人材の育成を心から期待しています。

    Most serious problems we are facing can’t be solved by one single persp ective of specialty. I do hope this program will produce talents not only with several views of how to use their specialty but with enthusiasm and entrepreneurship to realize their unique designs.

  • 白須 正 様 / Tadashi Shirasu 白須 正 京都市産業観光局 産業戦略監 (-2016.3.1)
    Industrial Strategy, City of Kyoto
    Chief Officer (-2016.3.1)

    京都は,1,000年以上にわたり日本の首都として栄え,現在も我が国の歴史,文化の中心都市ですが,一方,世界で活躍する企業や大学が集積し,我が国の最先端の研究や技術開発を牽引してきました。
    この京都に於いて,現在の社会経済が抱える課題を分析,解決し,未来の方向性を示すために,京都大学を核に「デザイン」の拠点が形成されることは,素晴らしことで,京都市としても,これを支援していきたいと考えます。

  • 松田 晃一 様 / Kohichi Matsuda 松田 晃一 独立行政法人 情報処理推進機構 顧問
    Information – technology Promotion Agency, Japan Exective Adviser

    現代は、ハードからソフトへ軸足が大きくシフトし、主役はソフトウェアとなっています。どのようにハードを使えば、新しい価値を生み出すことができるか?
    これこそ、ソフトウェアの本来の意味であり、デザインそのものです。システム開発においては、システムの企画や要件定義、いわゆる超上流工程のための方法論が求められています。システム全体を俯瞰して大きなデザインができる能力を持った人材を大いに期待しています。

  • 谷脇 康彦 様 / Yasu Taniwaki 谷脇 康彦 内閣官房 内閣審議官
    情報セキュリティセンター・副センター長
    Councillor, Cabinet Secretariat
    Deputy Director-General, National Information Security Center

    人口減少、少子高齢化、国民医療費の増大、環境問題、社会経済のグローバル化など様々な複雑な課題を解決していくためには、今、オープンイノベーションが求められています。オープンイノベーションを生み出すためには、異なる領域の智恵を掛け合わせること、そして産学官の枠を越えたコラボレーションが求められます。本プログラムは「デザイン学」を確立し、地球的規模の課題をオープンイノベーションで解決していく先進的な取り組みとして期待しています。

  • 柴内 哲雄 様 / Tetsuo Shibauchi 柴内 哲雄 EY総合研究所株式会社・理事/所長
    Managing Director, Ernst & Young Institute Co., Ltd.

    近年、日本、欧米など先進国ばかりでなく世界的にも閉塞感が漂っております。これまで世界経済を牽引してきた成長基盤が、正に限界を示していると言っても良いのではないでしょうか。この状況から脱するためには、ますます発展するグローバルネットワーク社会に相応しい新たな価値基準の創出や、それに基づいた産業、経済などの実現に向けた次世代社会基盤に創り変えることが必要になってきていると思います。そのためにも、本プログラムの特色である、専門領域・分野や国家といった従来の枠を超え、国際的な連携の下で、問題発見、問題解決に向けた取り組みの出来る人材の育成が非常に重要になってきていると思います。

  • 山本 和彦 様 / Kazuhiko Yamamoto 山本 和彦 森ビル都市企画株式会社 代表取締役社長
    President and CEO, Mori Urban Planning Corporation

    都市は極めて多様な要素が複雑に絡み合って出来ています。上手く絡み合っていれば良い都市になりますし、逆になれば最悪になります。「六本木ヒルズ」のような都市開発はそれを上手にデザインする事が求められています。夢を持ってそのような力を持つ人材に育って欲しいと思います。

  • 丸野 進 様 / Susumu Maruno 丸野 進 パナソニック株式会社 R&D本部
    先端技術研究所 理事・技監 (-2015.3.31)
    Counselors, Advanced Technology Research Laboratories, Panasonic Corporation. (-2015.3.31)

    パナソニックでは、新規事業領域の開拓や新たな発想に基づく新商品の開発に全社をあげ取り組んでいます。本リーディングプログラムが育成しようとしている十字型人材、即ち、実務実践能力が極めて高く、異分野融合でグローバルに活躍可能なデザイン型人材に大いに期待しております。

  • 上田 修功 様 / Naonori Ueda 上田 修功 日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーション 科学基礎研究所 所長
    Director, Ph.D., NTT CS-Labs.

    NTTでは安心・安全で心が豊かになる情報通信社会の実現を目指し、日々挑戦しています。この挑戦には、新たな価値を創造し、サービスとして社会に役立てるデザイン力が欠かせません。デザイン学を学んだ若手人材の今後の活躍に大いに期待しています。

  • 瀧本 正民 様 / Masatami Takimoto 瀧本 正民 豊田中央研究所 代表取締役
    C.E.O., Toyota Central R&D Labs., Inc.

    環境・エネルギー問題で代表される如く、我々の住む社会・地球は大きな転換期を迎えておりますが、こういう複雑な問題を解決するには、一つの専門分野を極めるだけでなく、幅広い視野・知識と行動力のある研究者が強く求められています。本プログラムは、実社会の大きな課題解決のためのイノベーション創出を担う研究者への第一歩だと思いますので、大いに期待をしております。

  • 田中 健一 様 / Kenichi Tanaka 田中 健一 三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 役員理事、所長
    Mitsubishi Electric Corporation
    Advanced Technology R&D Center General Manager

    大規模なシステム、特に世の中に無い新しいものを作るためには、その実現のために必要とされる多くの技術の見極めに加えて、システム全体、およびそれを取り巻く社会的環境を含めた基本デザインが非常に重要であり、その出来が全体の成否を決めるといっ ても過言ではありません。本学デザインスクールでは、そのような素養を、企業や世界の著名大学とのグローバルな連携を含む実践を通して学ぶことができるため、将来の就職や企業での活躍に際しても、非常に役立つ教育を授けられるものと期待しています。

    In order to develop a large scale system, especially an innovative one that has never existed, one of the most important things is to understand social requirements and identify the right combination of necessary technologies at the design stage. It is no exaggeration to say that overall success or failure of the system depends on these factors.
    At this design school, you can learn the basic philosophy of design through practice under global collaboration with notable universities and companies.
    I am confident that this educational experience will be very valuable to attain future success in your career.