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「デザイン」の定義

デザイン(design)の定義は、研究者の間で様々に議論されていますが、様々な研究領域が融合するデザインを考えるには、RalphとWandの定義がよいように思います。この定義はWikipediaにも出ています。

To create a specification of an object, manifested by an agent, intended to accomplish goals, in a particular environment, using a set of primitive components, satisfying a set of requirements, subject to constraints.

与えられた環境(environment)で目的(goal)を達成するために、様々な制約 (constraint)下で、利用可能な要素(component)を組み合わせて、要求(requirement)を満足する対象物の仕様(specification)を生み出すこと

この定義は十分抽象的で、専門が異なると、それぞれに解釈することができます。例えば、情報学の研究者にとっては、制約最適化問題の定義のようで親しみやすいものです。 もし、goal、constraint、requirementなどが定式化できるのであれば、情報学のアルゴリズムと超並列の計算資源を用いれば、複雑なデザイン問題を解くことができるように思われます。

ところが、このデザインスクールの関心は「社会のシステムやアーキテクチャのデザイン」です。組織、コミュニティなど、人が作り出す社会が対象となると、単純に制約最適化問題と捉えることができなくなります。例えば、コミュニティが持つ制約条件を知るためには、ステイクホルダーが一堂に会するワークショップが必要かもしれません。また、環境がグローバル化し、相互に関連し複雑になると、部分問題を切り出して独立に解くことができなくなります。問題を予め定式化できるという前提が崩れると、情報学にはそうした対象を扱うための、理論や手法の蓄積が乏しいことに気づかされます。

P. Ralph and Y. Wand: A Proposal for a Formal Definition of the Design Concept, In K. Lyytinen, P. Loucopoulos, J. Mylopoulos and B. Robinson Eds.: Design Requirements Engineering: A Ten-Year Perspective, 14, (2009), 103–136. Springer.