講師:小泉 秀樹 教授(東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻)
講演概要:
コミュニティ再生論講座|まちづくり研究室を主宰する小泉 秀樹氏(東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 教授)をお迎えして、ご自身の実践研究に関わる話題をご提供いただきます。
東京大学大学院都市工学専攻 コミュニティ再生論講座|まちづくり研究室
http://ut-cd.com/
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日時:2016年3月18日(金)16:00~18:00
場所:京都大学 デザインファブリケーション拠点(研究実験棟151室)
デザインファブリケーション拠点のアクセス
申込:不要
主催: 京都大学デザイン学大学院連携プログラム
企画:山内 裕(経営管理大学院 准教授)
問合わせ先:yamauchi[at]gsm.kyoto-u.ac.jp(山内)
([at]を@マークに変えてください)
講演報告:
現場に入り込みまちづくりをするという実践的な研究についてご発表いただいた。小泉先生のグループは、コミュニティデザイン研究で主導的な役割を担っている。東日本大震災で被災した平田(へいた)の仮設住宅のデザインでは、従来のような仮設住宅とは異なり家の間にウッドデッキの路地を作り、住民が互いにサポートできるようにし、また仮設店舗、診療所などのコミュニティ機能も作り込んだ。一方で、自治組織がなかなか立ち上がらないという課題も見え、住民交流会を開催し、住民主導の組織作りを行なった。結果として、平田では300世帯に対して、自殺などの件数が他と比べて格段に低い状態を生み出した。その他、陸前高田では地域の人々が集まれるようにりくカフェを作り、当初仮設であった店舗が本設に発展しているなどの事例も紹介いただいた。
都市部では、郊外のまちづくりに取り組まれている。東急のたまプラーザ駅周辺のコミュニティが、住民が高齢化しつつ、成人は仕事のために都市部に出るために、昼は高齢者と子供しかいない町となっている。ここで町全体がリビングのようにというコンセプトで、住民創発プロジェクトを立ち上げた。22団体が立ち上がり盛り上がりを見せている。
このような地道なコミュニティデザインの取り組みは、ヨーロッパでは古くから立ち上がり、財団などの補助金によって地域がコミュニティデザイナーを雇い活動することが定着している。一方で日本ではコミュニティデザイナーは、行政の関係で仕事を得ることが多く、まだその活動は社会に定着しているとは言いがたい。コミュニティデザインを養成することと、その仕事を社会の中で生み出すこと、そしてコミュニティをよくしていくことを多面的に取り組んでいく必要がある。