コミュニケーションリーダーは、ワークショップ等の学びの場で、「異なる専門家同士」や「専門家と非専門家」といった多様な学習者の「コミュニケーション環境」をデザインしリードできる、コミュニケーションの支援者です。
ビジネスコミュニケーションリーダー養成講座では、ビジネスシーンや高等教育現場など、主に18歳以上をターゲットとした「学びの場」をデザイン・リードできる人材の養成を目指しています。
開催日時:
11月28日(土) 10:30〜14:30 平田オリザ 14:30〜16:00 蓮行
12月23日(水) 13:00〜18:00 蓮行 ・ 寺田知太
1月23日(土) 13:00〜18:00 塩瀬隆之 ・ 蓮行
2月13日(土) 13:00〜18:00 蓮行
3月13日(日) 10:30~16:00 いいむろなおき
会場:
第1回目 京都大学 デザインイノベーション拠点(京都リサーチパーク9号館5階)
http://www.design.kyoto-u.ac.jp/access/#KRP_JA
第2回目以降 京都大学 デザインファブリケーション拠点(京大吉田キャンパス)
http://www.design.kyoto-u.ac.jp/facilities/de_fab_center/#YOSHIDA_JA
受講料: 3万円(税込)
定員: 25名(原則先着順)
申し込み方法:専用フォームからお申込みください。
問い合わせ: workshop-design[at]design.kyoto-u.ac.jp
講演報告:
コミュニケーションリーダーは、ワークショップ等の学びの場で、「異なる専門家同士」や「専門家と非専門家」といった多様な学習者の「コミュニケーション環境」をデザインしリードできる、コミュニケーションの支援者である。
当講座は、ビジネスシーンや高等教育現場など、主に18歳以上をターゲットとした「学びの場」をデザイン・リードできる人材を養成するものである。
第1回:平田オリザ氏を講師として迎え、授業やワークショップの場でコミュニケーションや気づきを促進するための手法を体験的に学ぶワークショップを行った。「○○といえばゲーム」等の手法を実践しながら、その使い方や効果の解説を行うことで、参加者が実際にワークショップ等を企画する際に有用な知恵と知識を得る機会を提供した。蓮行氏による講義の後半では、あるクライアントからのワークショップ企画の依頼に対して、前半に実践した手法を売り込むケースを想定したロールプレイ型ワークを行った。
第2回:野村総合研究所でコンサルタントとしての経験をもつ寺田知太氏から、ビジネスにおけるロジカルシンキング、発想法をベースにしたワークショップ手法の講義を行った。顧客のイシュー、達成すべきゴールから、必要なプロセスを逆算し、ワークショップをロジカルにデザインする思考法を参加者とともに実践した。また、アイデア発想を求められるワークショップにおけるコツや、発想を促すための制約条件の作り方を学び、参加者自らが実践を行った。
第3回:まず参加者自らが90分の授業を実践することを想定して設計し、最初の15分を模擬実践することを行い、聞き手役の講師および参加者からさまざまなフィードバックを受けた。そして、インクルージョンデザインの実践者である塩瀬隆之氏を招き、さまざまなワークショップ手法の講義を行った。企業のさまざまな事例をもとに、言葉の定義を共有することの重要性を理解した。そして、水を入れた紙コップを運ぶ人の観察を通じて、観察力を養うワークショップを実践した。次に、極端、反対を考えることで発想を拡げることに挑戦した。最後に、ワークショップでどのような問いを提示するべきかについて深く討議を行った。
第4回:演劇ワークショップを多数実践している蓮行氏による集中講義を行った。「歩くアンド止まるゲーム」を実践しながら、ワークショップ参加者をどのようにグルーピングし、リードするかを学んだ。また聞き手のモチベーションを考えながら、準備し、実践することの重要性について、さまざまな演劇的な手法やゲームを自ら体感することを通じて学んだ。最後に、コミュニケーションにおいて重要な身体の使い方を、演劇における姿勢や発声法のトレーニングを用いて、参加者自ら挑戦した。
第5回:マイム俳優であるいいむろなおき氏を講師に迎え、人に見せるための動きの作り方等をマイムを通して学ぶ実践的講義を行った。社会におけるマイム興隆の歴史や、自他の動作の観察や補助動作の作り方などのマイムの要点を学んだ後、参加者自身がマイムを実践した。自分の見せ方や振る舞いで相手の印象やその場の流れを動かすことは、コミュニケーション環境をデザインしリードする主体に必要な能力であるが、そのためのエッセンスをマイムの実践を通して学ぶ機会となった。講義の終わりには、本養成講座を通して参加者が得た学びを共有するため、参加者による座談会を行った。
講師プロフィール
平田オリザ(ひらたおりざ)
劇作家・演出家・青年団主宰。東京藝術大学社会連携センター特任教授、大阪大学客員教授。
こまばアゴラ劇場を拠点に、新しい演出様式による「現代口語演劇理論」を確立する。『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞(1995年)、 『月の岬』で第5回読売演劇大賞最優秀作品賞・優秀演出家賞(1997年)、『上野動物園再々襲撃』で第9回読売演劇大賞 優秀作品賞受賞(2002年)。日韓国民交流記念事業『その河をこえて、五月』で第2回朝日舞台芸術賞グランプリを受賞(2003年)、2002年著書 『芸術立国論』(集英社新書)が第7回AICT演劇評論賞、2006年モンブラン国際文化賞受を受賞。フランスを中心に世界各国で作品が上演・出版されている。2002年以降、中学国語教科書にも採用された平田のワークショップの方法論に基づき、年間30万人以上の子供たちが教室で演劇を創作している。2008年、大阪大学にて世界初のロボット演劇『働く私』を発表し世界的な注目を集める。『演劇入門』(講談社現代新書)、『対話のレッスン』(小学館)、『ニッポンには対話がない』(共著・三省堂)、『コミュニケーション力を引き出す』 (PHP新書)など著書多数。
蓮行(れんぎょう)
劇団衛星代表/劇作家、演出家、俳優/大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任講師。
京都を拠点に、社会的メッセージがあるような無いような作品群を、劇場のみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等で上演する。その活動は全国に渡り、茶道劇「珠光の庵」は全47都道府県上演を目指して巡回中。同時に、演劇の社会教育力に着目し、コミュニケーションティーチャーとして、多くの演劇ワークショップ事業を手がける。対象は未就学児から社会人まで幅広い。文化庁平成18年度新進芸術家国内研修制度研修員。岡山県立大学非常勤講師。
塩瀬隆之(しおせたかゆき)
京都大学総合博物館 准教授。京都大学工学部精密工学科卒業、同大学院修了。博士(工学)。
京都大学総合博物館准教授を経て2012年 6月退職。同7月より経済産業省産業技術環境局産業技術政策課技術戦略担当課長補佐。2014年7月京都大学総合博物館准教授に復職。共著書に、「科学技術Xの謎」「インクルーシブデザイン」など。日本科学未来館 “おや?”っこひろば 総合監修者。NHK Eテレ「カガクノミカタ」番組制作委員。中央教育審議会初等中等教育分科会専門委員。
いいむろなおき
マイム俳優。
兵庫県立宝塚北高等学校演劇科卒業。1991年渡仏。パリ市マルセル・マルソー国際マイム学院入学。1994年同学院卒業後、ニデルメイエ国立音楽院コンテンポラリーダンス科最上級クラス入学。翌年、審査員全員一致による金賞で首席卒業。
フランスと日本でマイム、パントマイム、ダンスなどの公演活動やワークショップを行う。1998年、拠点をフランスから日本に移し、「いいむろなおきマイムカンパニー」の名称で活動開始。舞台公演、ワークショップや外部指導、マイム演出、海外フェスティバルへの参加等、幅広く活動中。
・2005年 平成17年度文化庁新進芸術家海外留学制度研修員
・2009年 第3回世界デルフィックゲーム大会[即興マイム部門]金メダル受賞
・2011年 平成23年度兵庫県芸術奨励賞受賞
寺田知太(てらだともた)
株式会社野村総合研究所 2030年研究室 上級研究員。デザイン学ユニット非常勤講師 (特任講師)
京都大学工学部機械工学科卒業、同大学院修了。株式会社野村総合研究所に入社後、情報通信・メディア産業における戦略立案、M&A支援に従事。Duke University Fuqua school of BusinessにてMBA取得後、同社に戻り、さまざまな業種の企業に対して、デザイン思考ワークショップ、ベンチャー企業との連携プログラムのプロデュースを通じた、イノベーション創造の実践に携わっている。