講師:藤木 淳氏(科学技術振興機構(JST)/東京藝術大学)
これまで人間の解釈を揺さぶる、まるで、だまし絵のようなインタラクティブなグラフィックス表現を行ってきました。そして、現在は、質感や現象の立体表現を行っています。これまでに制作した作品を通して、このような表現をするに至った経緯と、これらの表現に共通考えをお話します。また、藤木の制作においては、表現と原理は密接に関係しており、そのアプローチを具体例を踏まえてお話します。これらを通して、人間と物理の関係について再考するきっかけになりましたら幸いです。
日時:2015年3月12日(木)13:30~15:00
場所:京都大学 デザインファブリケーション拠点(研究実験棟151室)
デザインファブリケーション拠点のアクセス
主催: 京都大学デザイン学大学院連携プログラム
問合わせ先:kumiyo.nakakoji[at]design.kyoto-u.ac.jp([at]を@に変えてください)
中小路 久美代(京都大学 学際融合教育研究推進センター デザイン学ユニット)
講師プロフィール:
博士(芸術工学)。2007年九州大学大学院芸術工学府芸術工学専攻博士課程後期修了。学部時代は九州芸術工科大学(現・九州大学)にてプロダクトデザインを専攻。2008年日本学術振興会特別研究員(PD)、NTTコミュニケーション科学基礎研究所客員研究員、ソニーコンピュータサイエンス研究所訪問研究員、2011年国際メディア研究財団研究員を経て、現在、科学技術振興機構さきがけ専任研究者、東京藝術大学JST研究員、武蔵野美術大学非常勤講師。表現と原理の関係から、人間と物理の法則を探る、あるいは、それらの新たな関係性を築く研究をしている。近年は、質感・現象の立体表現であるマテリアライゼーションの研究を行っている。傍ら、国内外の展示会やフェスティバル等に作品発表している。2008年にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたゲーム『無限回廊』などの監修をつとめる。
講演報告:
3次元空間を2次元表示した可視化空間とのインタラクションによって生じる視覚の錯覚を利用する、インタラクティブなグラフィックス表現のデモを多数見せて頂きながら、計算機環境をメディアとする人間と物理の関係をクリエイティブに作り上げるアプローチの解説を頂いた。さらに、表現メディアを3次元へと展開し、質感や現象を立体的に表現するアプローチをご紹介頂いた。物理世界を情報メディア上で忠実に表現するアプローチではなく、人間の認知機構を多様化して、「物理法則ではなく人間の法則に従う」というアプローチは、情報技術を用いてイノベーティブなソリューションを作り上げる際に、非常に効果的な手法となると考えられる。ご講演において繰り返し触れられた、物理法則の束縛からの解法、人間だからこそ感じられる表現、それを成り立たせる表現、といった視点は、デザイン学においてシステムを構成していく上で本質的であることが改めて認識された。