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デザインスクール公式イベント スプリングデザインスクール2015

即興演劇とコミュニケーションのデザインワークショップ
Workshop on Improvisational Play and Communication Design

(English follows Japanese)

講師:絹川 友梨氏(インプロワークス株式会社)

日時:2015年3月11日(水)10:30~17:00
場所:京都大学 百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールI、II
    百周年時計台記念館のアクセス(3番の建物)

概要:
D.A. Schoenが著したように、デザインのプロセスは状況との対話であると捉えられます[1983]。時間的経緯の中で、言語的、身体的行為を踏まえた状況を読み取り、それを解釈し、それに呼応する形で表現を作り出す行為であるといえます。即興演劇は、まさにそのプロセスを体現化するものであると考えられます。即興演劇は、シナリオがない中で、その場で出てきたアイデアをお互いに受け入れ合いながら、協同で場面を創っていくものです。

本ワークショップでは、即興演劇を用いたコミュニケーションのデザインと、デザインにおける即興演劇性といったものを、実践を通して体感し、内省していくことを目的とするものです。即興を続けるには、相手役と共に場面を作っていかなければならない状況に否応なしに投げ込まれます。そこには完成された事前の設計図がある訳ではなく、他者あるいは道具は、個人の働きかけに応じて一時的に知識を表象させ、かつその働きかけを停止させたり、修正させたりすることで、即興劇は個人を超えた一つのシステムとして機能します。演技者が互いに質的に深化するなかで、生きたシステムとしての実践共同体を構築してゆく過程が即興劇の実践には含まれると考えられます。

講師は、2014年5月に実施した即興演劇ワークショップに引き続き、インプロで日本を牽引する絹川友梨先生です。本ワークショップは、前回のワークショップをさらに展開したものとなりますが、初回、2回目を問わず、本科生、デザイン学関連教員を中心として、広くご参加頂ければと思います。

プログラム:
10:00 受付開始
10:30-11:00 ウォームアップ
11:00-12:30 session 1
12:30-13:30 休憩
13:30-15:00 session 2
15:15-16:45 session 3
16:45-17:00 wrap-up & Q&A

言語:英語対応可(参加者に応じてプログラムを対応予定)

定員:35名

当日は動きやすい服装でお越しください。

申込/問い合わせ:kumiyo.nakakoji[at]design.kyoto-u.ac.jp([at]を@に変えてください)
         中小路 久美代(京都大学 学際融合教育研究推進センター デザイン学ユニット)


 

Workshop on Improvisational Play and Communication Design

Date: Wednesday, 11 March 2015 10:30-17:00
Place: Clocktower Hall 2nd floor, Kyoto University (No.3 in the map)

Abstract:
The improvisational play is about how you react and respond to emerging situation in real time. The workshop is inspirational and awakening in discovering how your gesture, utterances and impressions whether you are consciously or unconsciously exhibit, are interpreted by others, and so you interpret those of others. The very cycle of action and reflection is also fundamental in design.

The instructor, Yuri Kinugawa, got a degree in theatre play in New Zealand (she is actually a well established actor in New Zealand) and is amazingly good.

No previous experience in play and/or improvisation is required, and no interest in play or design is necessary.
Be who you are and enjoy the creative, inspirational moment.

Sponsored and organized by:
Collaborative Graduate Program in Design, C-PIER, Kyoto University

Application and Inquiry to:
Kumiyo Nakakoji
kumiyo.nakakoji[at]design.kyoto-u.ac.jp


報告:
インプロ(improvisation/即興)は、心の垣根を取払い、クリエイティブに遊び心と工夫を引き出すトレーニングであり、音楽・演劇・芸術の分野で広く取り入れられている。一般的にはパフォーマーが鑑賞者を楽しませるためのエンターテインメントのトレーニングの場として捉えられるが、同時に自身のコミュニケーション力について自省し学習する場としての教育効果も着目されている。シナリオがない中で、その場で出てきたアイデアをお互いに受け入れ合いながら、協同で場面を創っていくのが即興演劇である。即興を続けるには、相手役と共に場面を作っていかなければならない状況に否応なしに投げ込まれる。そこには完成された事前の設計図がある訳ではなく、他者あるいは道具を取り込むことで即興劇は個人を超えた一つのシステムとして機能する。この点において、デザイン学と即興演劇の役割は、密接に連携する。
本ワークショップでは、講師に絹川友梨氏(インプロワークス(株))を迎え、学内外から18名(うち本科生3名)の参加を得て実施した。17項目のエクササイズが用意され、台本のないコミュニケーションについて、送り手はアイデアを伝え、受け手はそれを受け入れた上で自らのアイデアを相手に伝える(“イエス・アンド”: yes and)ことでインタラクションを継続し、安心感と信頼感を醸成しながら互いの理解の共通項と共感できる部分を拡大していくプロセスをさまざまな状況設定のもとでの課題にグループで取り組み実践した。複数人による言葉を介した一貫性のある世界の構築、言葉とジェスチャーの組み合わせによるコミュニケーションチャンネルの確立、姿勢と動きのスピードの制御によるメッセージの読み取りといったエクササイズを通して、デザイン学におけるコミュニケーションの役割やコミュニケーションをデザインする際の課題を体験した。
実施後のアンケートでは、すべての参加者が「期待した通り」以上の評価で、そのうち殆どの回答から、「期待したのとは良い意味で違った」という評価結果が得られた。生きたシステムとしての実践共同体を構築して行くための過程を短時間で体験することが出来る貴重な機会となり、今後、デザイン学教育において継続的にインプロを取り込んで行くことの重要性が示唆されるものとなった。