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Design Visions

“Tasteful disturbance”

日時:2017年7月18日(火)16:30~
場所:京都大学 総合研究9号館 N7講義室
   総合研究9号館のアクセス(68番の建物)

講演者:Hernan Diaz Alonso氏(南カリフォルニア建築大学・学長)

ACI-Arc(南カリフォルニア建築大学)の学長、Hernan Diaz Alonso(ヘルナン・ディアス アロンソ)氏が、京都大学を訪問される機会に、特別講演会を開催します。同氏はこの10年に同校のすぐれた大学院カリキュラムの形成に尽力し、SCI-Arcのデジタル技術への移行を先導していることで広く知られています。同時に、建築家として、ロサンゼルスに本拠を置くXefirotarchのプリンシパルであり、デザイン、アニメーション、インタラクティブな環境、そして根本的な建築の追求が重なる学際的な仕事をてがけ、2005年にMoMA PS1のYoung Architects Program(YAP)コンクール優勝、2012年にアメリカ建築家協会(AIA)の教育者賞受賞、さらに、アルゼンチン・パタゴニアのティッセン・ボルネミッサ・パビリオン/博物館デザインによって、2013年AR + D賞、2013年プログレッシブ建築賞を受賞しています。大学の教育者として、建築家としてその実績について紹介いただきます。

Hernan Diaz Alonso氏について
建築家、Xefirotarch主宰、インタラクティブなデザイン・アニメーション・建築の学際的業績、教育カリキュラムで知られる。アメリカ建築家協会教育者賞、AR+D賞(ティッセン・ボルネミッサ・パビリオン)等受賞。
https://sciarc.edu/people/faculty/hernan-diaz-alonso/

主催: 京都大学デザイン学大学院連携プログラム

問合わせ先:takeyama[at]archi.kyoto-u.ac.jp([atを@に変えてください)
      竹山 聖(工学研究科 建築学専攻・教授)


報告:
参加人数
聴講者 教員11名、大学院生18名、学部学生5名、その他8名 
計 42名

2017年7月18日16時30分より、京都大学吉田キャンパス総合研究9号館N7講義室において、ACI-Arc(南カリフォルニア建築大学)の学長、Hernan Diaz Alonso(ヘルナン・ディアス アロンソ)氏の特別講演会「Tasteful Disturbance」が開催されました。建築学科ではこの前週に設計演習関係の講評会が全て終了し学生たちが不在がちであったため、学部学生の参加は少数でしたが、他大学や海外の建築教育に関心のある研究者、また最新の建築動向に敏感な建築家などが京都のみならず遠方からも集まり、桂からも多くの大学院生が駆けつけ、熱のこもった雰囲気のなかでの講演と質疑応答が行われました。
同氏によるコンピュータと3Dプリンターを駆使した造形は、近未来的でありながらノスタルジックであり、アルゴリズミックでありながら具象的でもあって、フランク・ゲーリーなどに代表されるここ30年ほどの模型とコンピュータを駆使した造形、コンピュータエイディド・バロックと対照するなら、いわばコンピュータエイディド・ゴシックとも称するべき、不可思議で時にグロテスクとも見える意味性に溢れた造形であって、それらが多くの画像とともに紹介されました。
その一種幻想的な造形は19世紀末ウィーンの官能的表現をも想起させるもので、かつて近代建築が規範とした機械的抽象的造形から完全に脱し、生命的具象的造形の可能性が展開されます。コンピュータと3Dプリンターという道具の革新を通した陰影と物語性を持った秘めやかな造形は、大いに議論の的となりました。

講演会を終えて
ヘルナン・ディアス アロンソ氏は現在、ロンドンのAAスクール、ニューヨークのクーパーユニオンと並び称される建築教育専門機関であり、その前衛的かつ斬新なデザイン教育で知られる南カリフォルニア建築大学の学長を務めています。着任以来の10年間に大学院カリキュラムの改革に尽力し、デジタル技術への移行を先導していることで広く知られています。同校では全ての学生に3Dプリンターを与え、コンピュータと連動させて新たな造形の可能性を追求しています。同氏はまた、建築設計実務においても、ロサンゼルスに本拠を置くXefirotarchのプリンシパル・アーキテクトとしてデザイン、アニメーション、インタラクティブな環境など、建築と他分野との学際的な仕事をてがけておられます。2005年にMoMA PS1のYoung Architects Program(YAP)コンクール優勝、2012年にアメリカ建築家協会(AIA)の教育者賞受賞、さらに、アルゼンチン・パタゴニアのティッセン・ボ ルネミッサ・パビリオン/博物館デザインによって、2013年AR + D賞、2013年プログレッシブ建築賞を受賞しています。
今回の講演会では、大学の教育者として、また建築家として、その活動の軌跡および今後の展望について広く紹介いただき、これについてのさまざまな観点からの議論が交わされました。
京都精華大学の新井清一先生をはじめ、かつてSCI-Arcに在籍し、その教育に触れた経験のある研究者や建築家、またAAスクールに在籍した建築家の竹口健太郎氏など、多くの学外からの専門家も参加し、参加者は少数ながら、講演にそして質疑応答に、密度の濃い時間が流れました。
講演会の後では近くのレストランに場所を移し聴衆の多くも参加して、今日の建築教育について、世界の建築動向について、肩肘の張らない形でさまざまな議論が交わされました。
同氏は翌日早朝日本を発つため、その日のうちに投宿先の大阪のホテルへ移動されました。
同氏は講演会当日朝に東京から京都へと移動してこられるというハードスケジュールで、忙しい滞日中の時間を縫って京都大学での講演会を行っていただいた同氏へ心から感謝の念を捧げたいと思います。

(文責 竹山聖)