1. 概要
京都大学でのFBL/PBL,さらにサマーデザインスクールを経験した本科生(修士2 年)を香港に派遣し,香港バプティスト大学の学生と合同でデザインワークショップを行うことによって,修得したデザイン理論やファシリテーションの手法の定着を図ることが本合同デザインスクールの目的である.このイベントは沖縄でのデザインスクール(修士1年次が中心)の次の機会として設定するもので,英語でのワークショップである点,初めて状況を理解する海外でも問題発見,解決を求められる点で難度が格段に高い.博士課程でのフィールドインターンシップやリサーチインターンシップなど本格的な武者修行の前段としての位置づけるものである.
今年度は,昨年度同様に京都と香港の2 カ所で開催し,教育システムに関して両都市の文化差に着目して国際的な視点で取り組むことを目指す.また,今年から香港バプティスト大学も計算機科学専攻だけでなくミュニケーション研究科(ジャーナリズム)も加わったことで,参加学生の専門分野が多様化し,異分野協働の環境が整った.さらに,参加者は日本と中国(香港含む)だけでなく,カンボジア,イギリス,レバノン,カナダと国際色豊かなチーム構成で取り組んだ.
2. スケジュール
2016年4月16日(土)~4月17日(土)
4月16日(金) 4月17日(土) |
各グループでフィールドワークやアイディエーションを実施 於:KRP |
2016年6月10日(金)〜6月13日(月)
6月10日(金) | 関西国際空港から香港国際空港へ 午後 オープニング&招待講演 |
6月11日(土) 6月12日(日) |
各ワークショップでフィールドワークやアイディエーションを実施 夕刻:発表会 於:香港バプティスト大学 |
6月13日(月) | 香港国際空港から関西国際空港へ |
3. ワークショップ
香港は,近年,小学校中学年への統一試験の導入や国際的な3+3+4 制の採用など教育システムを大きく変更してきている.その結果,子ども達へのストレスが増加し,今年になって15 件の若年層の自殺が発生し問題となっている.そこで本年度は,香港の教育システムの問題を対象とし,テーマを創造性教育のデザインとした.
今年は学生を4 グループに分け,京大生2 名,香港バプティスト大生3 名を1 グループとした.また,各グループに1 名教員を割り当て,教員がファシリテータとなり,それぞれ異なるプロセスで問題解決に取り組んだ.
また,今年は京都セッションと香港セッションとの間に2 ヶ月あったことから,香港セッションを京都セッションで作成したアイデアの検証フェーズとして捉え,香港セッションでは現場でのアクティビティを準備した.あるグループは香港の現地高校と協力して,京都セッションで検討した「夢実現に向けた多様なパス発見のワークショップ」を高校生に対して実施し,香港の高校生の経験から若年層の抱える問題の抽出を試みた.他のグループは香港の英才教育スクールに訪問し,国の援助を受けて行われている香港の教育方式について調査を行った.これらのアクティビティを通して,子どものストレスを検出するアプリケーションや,子どもに職業の選択の多様性を見いだせるための企業協力型のマイスタープログラムなどの解決策が提案された.
4. 参加者
<学生>21名
京都大学デザイン学履修者8名(うち予科2 名)
香港バプティスト大学13名
<教員他>12名
教員10名(京都大学4名,香港バプティスト大学6名)
職員2名(京都大学1名,香港バプティスト大学1名)
5. アンケート結果
本科生にアンケートを実施し,計 8 名から以下の回答を得た.詳細は実施報告(PDF).
リンク
香港バプティスト大学作成のwebページ
2016 Joint Workshop on Design for Sustainability (D4S)