1. 概要
京都大学でのFBL/PBL,さらにサマーデザインスクールを経験した本科生(修士2年)を香港に派遣し,香港バプティスト大学の学生と合同でデザインワークショップを行うことによって,修得したデザイン理論やファシリテーションの手法の定着を図ることが本合同デザインスクールの目的である.今年度は,京都と香港の2カ所で開催し,両方に横断したテーマとすることで,両都市の文化差に着目し,異なる環境に対して国際的な視点で取り組むことを目指す.前半は香港バプティスト大学の学生を迎え入れて京都で開催し,後半は京都大学の学生を香港に派遣し香港で開催する.
このイベントは沖縄でのデザインスクール(修士1年次が中心)の次の機会として設定するもので,英語でのワークショップである点,京都と香港という異なる環境に横断する国際的な課題を対象とする点,初めて状況を理解する海外でも問題発見,解決を求められる点で難度が格段に高い.博士課程でのフィールドインターンシップやリサーチインターンシップなど本格的な武者修行の前段としての位置づけるものである.
2. スケジュール
2015年4月16日(木)~4月19日(日)
4月16日(木) | 午後 京都のフィールド調査 |
4月17日(金) 4月18日(土) |
各ワークショップでフィールドワークやアイディエーションを実施 於:KRP |
4月19日(日) | 午前 発表準備 午後 中間発表 |
2015年5月28日(木)〜5月31日(日)
5月28日(木) | 関西国際空港から香港国際空港へ 午後 香港島のフィールド調査 |
5月29日(金) 5月30日(土) |
各ワークショップでフィールドワークやアイディエーションを実施 於:香港バプティスト大学 |
5月31日(日) | 午前 発表会 夕刻 香港国際空港から関西国際空港へ |
3. ワークショップ
香港では排出されるゴミが焼却場の容量を超えつつあることが問題となっている.特に住宅用地の少ない香港では焼却場を建設できるような土地が少なく,地元住民からの反対が強いため,焼却場の建設が進まず,ゴミ処理が大きな問題となっている.そこで本年度は,香港のゴミ処理問題を対象とし,テーマを二都市間グリーン協定のデザインとした.二都市間とすることで,京都と香港の差に着目し,京都の環境の取り組みを香港に適応させることをテーマに含めている.一方,デザインプロセスに関しては,今回は相互に京都と香港を訪問するため,異文化融合と異分野融合を手法として用いた.
具体的には,京都セッションでは主に異文化融合に焦点を当て,香港バプティスト大学の学生がフィールドワークで得た気づきから京都大学の学生が京都の特徴を知るとともに,そのような差を生じさせた文化的または環境的要因の分析を行った.続いて,発見した文化的要因や環境的要因による差に着目して,京都の取り組みを香港に適応させるアイデアの強制発想を行った.その結果,食べ残しを減らすための料理の量を調整できるメニューや完食をシェアするためのSNSサービス,テイクアウト時のゴミを減らすmyお弁当,宅配サービスがゴミを収集して帰るサービスなどが提案された.
一方,香港セッションでは,京都セッションで作成したアイデアの検証に重点を置き,出てきた課題を異分野融合で解決することを試みた.まずはグループごとにフィールドワークを行い,インタビューや観察,測定などを通して自分たちのアイデアの受容性や実現性について検証を行った.その結果,ステークホルダーのインセンティブが一致しないことなどを発見し,例えば教育学の学生は体験学習などのアクティブラーニングによる児童への教育によって消費者のゴミ問題への意識を変えることで,行政や企業のインセンティブを高める方法などが提案された.
4. 参加者
<学生>21名
京都大学デザイン学本科生 13名
香港バプティスト大学 14名
<教員他>13名
教員11名(京都大学4名,香港バプティスト大学6名)
職員2名(京都大学1名,香港バプティスト大学1名)
5. アンケート結果
本科生にアンケートを実施し,計 10名から以下の回答を得た.詳細は実施報告(PDF).
リンク
香港バプティスト大学作成のwebページ
2015 Joint Workshop on Design for Sustainability (D4S)