日時:2015年2月6日(金) 13:30~15:00
場所:京都大学 総合研究2号館 3階南東角 ケーススタディールーム
総合研究2号館のアクセス(34番の建物)
講演者:松村 真宏 准教授(大阪大学大学院 経済学研究科)
申込:不要
担当者:山内 裕(経営管理大学院 講師)
yamauchi[at]gsm.kyoto-u.ac.jp ([at]を@に変えてください)
講演概要:
運動不足や不健康な食事といった不摂生、ゴミのポイ捨てや不法駐輪といった違反行為、公衆衛生、犯罪、エネルギー問題といった社会的課題など、個人や社会の問題の多くは人の行動そのものが作り出している。したがって、これらの問題を解決する本質的な方法は、人の行動そのものを変えることにある。仕掛学では、人の行動を変えるためのアプローチとして、行動の選択肢を生み出す「仕掛け」のメカニズムの解明に取り組んでいる。また仕掛学のアプローチは、新商品やイベントのプロモーション、サービス体験のデザインに応用することも可能である。本講演では、仕掛学の概要やこれまでに取り組んできたこと、期待される今後の取り組みなどについてざっくばらんに紹介する。
講演者略歴:
1975年大阪生まれ。工学系出身で経営学系に在籍している仕掛学系の研究者。仕掛学とソーシャルデータマイニングによる行動分析を合わせたクリエイティブ・マーケティングに取り組んでいる。
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講演報告:
報告書(PDF)
まず仕掛けの例の紹介から始まった。ゴミをきちんと捨てさせるための仕掛けとは? 中が見えるゴミ箱は爆弾などのテロ対策として作られたものであるが、分別にも役に立つ一つの仕掛けである。おもちゃを食べる牛のぬいぐるみは、子供がおもちゃを片づけさせる仕掛けである。その他、ゴミが万華鏡になっていて捨てたくなるもの、捨てると「ひゅーーーー」と音の出るものなど数多くの仕掛けが紹介された。ゴミ箱だけでも、様々な仕掛けがありうる。人に行動を命令するのではなく、違う選択肢を示し、人に選択するようにするものである。
これらの仕掛けを百以上分析して、その背後のメカニズムを解明している。五感などの物理的な要因と楽しいとかワクワクするなどの心理的な要因が組合されて仕掛けになるという。また、仕掛けはどれも一様なのではなく、効用と費用の関係で、長期に使用することで効用が下がり、費用を下回ることで使われなくなるという構造もある。松村先生は、これらの仕掛けの分析から、仕掛けのデザインにシフトしつつある。これからハッカソンなどを実施して、デザインを進めるということであった。