1. 概要
京都大学での FBL/PBL、さらにサマーデザインスクールを経験した本科生(修士 2 年) を香港に派遣し、香港バプティスト大学の学生と合同でデザインワークショップを行うこ とによって、これまでに修得したデザイン理論やファシリテーションの手法の定着を図る ことが本合同デザインスクールの目的である。
このイベントは沖縄でのデザインスクール(修士1年次が中心)の次の機会として設定 するもので、英語でのワークショップである点、門性を発揮することが求められるサステナビリティ(交通とヘルスケア)という地球規模の課題を対象とする点、初めて状況を理解する海外でも問題発見、解決を求められる点で難度が格段に高い。博士課程でのフィールドインターンシップやリサーチインターンシップなど本格的な武者修行の前段としての位置づけるものである。
2. 日程
2014年6月12日(木)〜6月15日(日)
3.スケジュール
6月12日(木) | 関西国際空港から香港国際空港へ バスでランタオ島のフィールド調査 |
6月13日(金) | ワークショップ |
6月14日(土) | 各ワークショップでフィールドワークや アイディエーションを実施 |
6月15日(日) | 発表会 夕刻 香港国際空港から関西国際空港へ |
於:天壇大仏 | 於:大墺 |
3. ワークショップ
大都市の開発計画は、住人やビジネスマン、観光客、政府役人といった多くの利害関係 者を考慮しなければならない。このような複雑な社会において未来に向けた問題解決策を 発見するには、多様な分野の専門家の協働が必要不可欠である。また、利害関係者だけで なくその専門家間の対話も重要な要素である。さらに、その解決策は利害関係者によって 理解されるように論理的に説明される必要がある。このワークショップでは、対話や論理 的な手法を用いて、ランタオ島の開発計画をデザインすることを目的とする。
なお、事前準備として、香港バプティスト大学の学生が Asia World Expo の臨時副最高 経営責任者へランタオ島の開発計画についてインタビューを実施している。質問は,各ワ ークショップのテーマに沿って両大学の学生が作成し、取り纏めたものを編集して作成し た。インタビュー結果の要約は渡航前に各ワークショップのメンバに配布し、ランタオ島 の現状に関する基礎知識を事前に共有した上で、それぞれのワークショップを実施してい る。各ワークショップの詳細は以下の通りである。
3.1. WS1: Exploring Geo-Tagged Photos for Culture Friendly Development
ファシリテータ:荒牧英治、William Cheung
メンバ:藤田弥世、佐藤那央、Liu Kai、Gu Fangqing
本ワークショップの目的は、革新的かつ文化親和性の高い経済発展に向けた洞察を得る ために、Flicker 等のオンラインレポジトリ上の位置情報付き画像を検索し、その効果を調 査することである。そこで、ランタオ島に似た背景を持つ世界中の島々(バリ島、バンク ーバー島、トロント島、マウイ島等)について事前に調査し、それらの経済発展計画を整 理した。さらに、それらの島の位置情報付き画像を検索し、各文化への洞察を事前に得た。 ワークショップ期間中は、参加者の撮影したランタオ島の写真からランタオ島の文化的な 特徴を抽出し、その特徴を他の島の特徴と対比した後で、参加者はランタオ島の新しい経 済発展計画を、文化親和性を考慮しつつ議論を行う。
3.2. WS2: Vision and Design of Eco-Friendly Connectivity within/across the Intelligent Island
ファシリテータ:石田 亨、村上陽平、Jiming Liu
メンバ:小椋恵麻、堀 友彌、Liu Fei、He Jingzhu
本ワークショップの目的は、環境に優しいコミュニティを想像して計画を作成し、知的 な交通基盤をデザインする(プロトタイピングをする)ことである。そこで、ある地域に 焦点を当てて、その地域の輸送能力、遺産保護、環境保全能力、持続可能性などを対比し てシナリオ分析を行った。分析時には、マルチメディアマインドマップ(freeplane 等)を 用いて、発見した事やデザイン案などを纏め、解決策を作成した。
3.3. WS3: Vision-Based Design Workshop: Looking into the Future by Looking Back the Past
ファシリテータ:中小路久美代、Haiping Lu メンバ:古田幸三、鈴木 綾、Li Yuanxi,Lou Jian
本ワークショップの目的は、現在と 20 年前(もしくは 50 年前)のランタオ島の日常を 比較することで、今後 20 年後(もしくは 50 年後)のランタオ島の生活を想像することで ある。そこで、ワークショップ参加者は、まず日常の小さな出来事などを個別に十数個絵
ル図の未来の項目を収集し、参加者はそれら全てを矛盾なく紡ぐ一つのストーリーを描く ことで、20 年後(もしくは 50 年後)のビジョンを作成した。
3.4. WS4: Fieldwork Approach
ファシリテータ:北 雄介、Byron Choi メンバ:北野清晃、坂口智洋、Bao Qing、 Yi Peipei
本ワークショップの目的は、香港の都市の文脈に焦点を当て、香港の資源と不足資源を 明確にし、その不足分を補うようにランタオ島の開発プランを作成することである。そこ で、フィールド調査を行い、香港の資源地図を作成し、それらと交通システム網を重ね合 わせた。そこからランタオ島の開発計画を立て、ペルソナによって分析を実施した。
3.5. WS5: Design by Dialogues and Logical Methods
ファシリテータ:十河卓司、椹木哲夫、Li Chen
メンバ:岡 隆之介、市村賢士郎、Wenya Wu、 Shan Songwei、Mai Guangcan
大都市の開発計画には、住人やビジネスマン、観光客、政府といった多様なステークホ ルダーが関与する。そのような複雑な社会の将来に向けたリーズナブルな解決策を見つけ るために、本ワークショップでは専門家間の対話と論理的手法によって、開発計画をデザ インした。具体的には、各自が事前に作成した開発計画案を説明し、他のメンバはアクテ ィブリスニングによって発表者の興味や経験など背景を深く理解するよう努めた。その計 画案をフィールド調査によって妥当性を検証し、最後に、産業界で用いられるコンサルテ ーション手法や発明手法といったクリティカルシンキング手法(MECE やピラミッド原理 等)を用いた議論を通して、開発計画を作成した。
4. 参加者
<学生>21名
京都大学デザイン学本科生 10名
京都大学情報学研究科社会情報学専攻 1名
香港バプティスト大学 10 名
<教員他>15 名
教員 13名(京都大学7名、香港バプティスト大学6名)
職員 2名(香港バプティスト大学 2名)
5. アンケート結果
本科生および教職員にアンケートを実施し、計 14 名から以下の回答を得た。
詳細は実施報告(PDF)をご覧ください。
リンク
香港バプティスト大学作成のwebページ
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