講師:出口 雄吉氏 (東レ株式会社 専務取締役 経営企画室長)
今年、創業から88年になる東レ、その事業内容は、祖業である繊維からプラスチック・ケミカル、情報通信材料・機器、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、さらにはライフサイエンスまで広範囲にわたっています。また、会社(事業)の寿命は30年と言われる移り変わりの激しい産業界にあって、祖業の繊維をはじめ古くから展開している事業が今も世の中のニーズを捉え、成長し続けているのもこの会社の特徴です。最近でも、大手SPA(*)と提携しての高機能衣料の爆発的普及や、長年にわたって取り組んできた炭素繊維複合材料による航空機の大幅な軽量化・省エネと快適性向上の実現など、幅広い分野で社会の発展に貢献し続けています。
本講演では、「素材には社会を本質的に変える力がある」、「Innovation by Chemistry」を標榜する同社のこのような広範囲かつ息の長い事業展開を可能にしている「源」としての企業哲学や経営戦略、組織、研究開発体制などについて、幹部が自ら事例を交え、生の声で語っていただきます。
国内マーケットの成熟からグローバルビジネスへの潮流の中で、日本経済・産業も転換期を迎え、新たな成長戦略に国内外の注目が集まっています。こんな状況下、「素材をベースとした広角な事業展開が私たちの生活・インフラまで世の中に変化をもたらす」という該社の経営は、これからの企業戦略に多くの示唆を与えて頂くことになるでしょう。多くを学び、次世代のビジネスデザインに繋げて行きましょう。
(*)SPA(Speciality store retailer of Private label Apparel); 企画から製造、小売までを一貫して行うアパレルのビジネスモデル
日時:2014年12月19日(金)17:30~(19:00頃から懇話会)
場所:デザインイノベーション拠点 京都リサーチパーク西地区 9号館5階 506号室
KRPのアクセス
対象:デザインイノベーションコンソーシアム会員、
京都大学教員・学生、一部招待者
定員:40名程度
参加費:無料(懇話会 1,000円)
申込: 下記より申込ください。12月11日(木)締切
https://pro.form-mailer.jp/fms/0d44cd8666754
主催: 京都大学デザイン学大学院連携プログラム
デザインイノベーションコンソーシアム
問い合わせ:デザインイノベーションコンソーシアム 事務局
京都リサーチパーク(株)山口
info[at]designinnovation.jp([at]を@に変えてください)
075-315-8522
講演報告:
創業以来88年、様々な要素が複雑に絡み合いながら現在の「繊維からエレクトロニクス、医療、航空機まで非常に幅広く事業展開を成す」該社の下記ビジネスモデルが語られた。
・コア技術の深化・融合による多様な素材とその事業展開の例として、1)航空機から、スポーツ、自動車、エネルギー、土木に至るまで使われる炭素繊維2)人類にとって喫緊の課題、水問題に対応する海水淡水化プラントの基幹部品:水処理膜3)原糸原綿からヒートテックのように縫製製品までの一貫生産する機能性の繊維の技術開発と事業の歴史。
・これらを可能にするのは、極限追究による基礎技術確立を目指すCorporate 研究テーマと事業化技術確立を目指すDivisional 研究テーマの混在により、革新技術を事業に繋げる体制、もう一つは、「深は新なり」という技術の「深堀り」が「新」を生み出すという哲学。
・「Innovation by Chemistry」の合言葉のもと、先端素材で、世界に貢献すべく、長期的な視点をもって相手の国の経済、社会とともに発展していくという今後の展開方針。
[参加者を交えた討議における主たる論点]
1) 市場が活況を呈するまでの間、長期視点に立った素材の研究開発マネージメント
2) 素材産業における研究開発の深化と需要(実ビジネス)の間の埋め方
3) イノベーションを起こす上で重要なキーパートナーの選択基準等について。
報告の詳細は下記デザインイノベーションコンソーシアムのページをご覧ください。
http://designinnovation.jp/program/design-forum/-vol3-1.html