日時:2016年3月8日(火)13:00~17:00
場所:京都リサーチパーク バズホール
(京都リサーチパーク 西地区 4号館 地下1階)
https://www.krp.co.jp/access/room.html
Webサイト:http://www.dl.kuis.kyoto-u.ac.jp/ddws2016/
問合せ:ddws[at]design.kyoto-u.ac.jp([at]を@に変えてください)
京都大学デザインスクールでは、 スプリングデザインスクールの一部としてAR.Droneコンテストを開催します。 3回目の開催となる今回は、事前にチームを決め、一週間の開発期間を経てから、コンテスト開催を迎える形式で行います。プログラミング経験があまりない人でも、開発期間に学習することができます。
マルチコプターのAR. Droneを自動操縦するプログラムを作成して、決められたコースをいかに正確に、かつ、早くゴールできるかを競います。Droneに搭載された各種センサ情報やカメラの情報を基に、制御理論や画像処理技術を駆使して自動操縦を実現します。戦略決定、実装、評価を繰り返すことで、デジタルと実世界のインタラクションを体験しながら学ぶことができます。 チームでの戦略決定、実装、評価を繰り返し、デジタルと実世界のインタラクションを体験しましょう。
講演報告:
本コンテストの対象であるDroneは、片手で持てる程度の小さな模型ヘリコプターである。人手を介さない小型物品の輸送や、高高度からの映像撮影など、多様な応用が検討されている。本コンテストでは、Droneに与えられた課題をこなさせる自動操縦プログラムを作成することを課題として設定した。具体的には、Droneに搭載されたビデオカメラ映像を用いて目標標識(マーカー)を見つけ、Droneを移動させてマーカーとの相対位置を一定時間以上、一定範囲内に保たせるプログラムを作成する。Droneからのカメラ映像は無線通信により連続的にPCに送信され、PCは送られてきた映像に基づいて制御プログラムを実行し、コマンドを送り返す。制限時間内にできるだけ多くのマーカーを見つけ、それぞれのマーカーの前に正確に移動すること、およびスタート位置に戻ることにより得点が加算される。マーカーを巡回する順番等、高得点を狙う様々な戦略が考えられる。
今年度のデジタルデザインワークショップは、これまでとは異なり複数日を用いて実施した。まず、2月24日に吉田デザインファブリケーション拠点にてキックオフイベントを開催し、コンテストに向けたチーム分けを行った。参加者数17名、チーム数は5チームである。各チームへ1台のDroneと必要に応じて開発用ノートPCを割り当てたのち、Drone操作のためのライブラリ(マーカーの認識やマーカーとDroneとの位置関係を計算する等の基本的な関数)やマニュアルの配布を行った。その後、2月29日から3月7日まで、プログラム開発期間として、チーム毎に吉田デザインファブリケーション拠点にて自由にプログラム開発を行った。本コンテストの運営には、教員4名とTA 8名が携わった。
開発期間中には、すべてのチームが、ほぼ毎日吉田ファブに通い、熱心にDroneの制御プログラムの開発に取り組んだ。開発期間の初日には、本コンテストでの標準的なプログラム開発言語であるProcessingの文法や基本的なライブラリの使い方を学び終え、マーカーを利用してDroneの移動を行えるところまで到達したグループがほとんどであった。その後の開発期間では、過去のコンテストでは使用されなかった方位センサ等を活用するなど、効率よくまた正確にDroneを制御することができるチームが増えていった。自前のライブラリを作成するチームもあり、参加者の意欲的な取り組みのもと、非常に優れたプログラムが作成されていた。
コンテスト当日は、予選コース・本選コースの二つのコースを飛行させ、予選と本選での合計得点をチーム毎に競った。予選コースとは、開発時の例題として用いた、約7m四方のフィールドの決まった位置に設置される4箇所のマーカー配置である。本選コースは、予選コースにおけるマーカー位置を2箇所変更したものであるが、その配置はコンテスト当日に発表することとしていたため、各チームには、任意のマーカー配置に対応できる自動操縦プログラムの開発が求められていた。
練習では、ほとんどのチームが予選コースの完全な巡回に成功していたが、コンテスト会場が地下であったために地磁気センサが誤動作するなど、会場変更の影響を受けたチームもあった。一週間以上の開発期間を反映し、各チームとも高い精度でDroneを制御できていた。最上位チームは、満点を取得した。すなわち、予選コース、本選コースの双方について、全てのマーカーを自動巡回させた上でスタート地点にDroneを着陸させることに成功した。
アンケート結果の一部を図1、2に示す。参加者は、プログラムを作成・修正し、テスト飛行を行い、Droneが期待した動作をしない場合にはその修正を行うといったプロセスを、難しさを感じながらも楽しんで取り組んだようである。
本コンテストを通じて、チームとして達成するべき目標を明確化すること、その達成に必要となる小課題を見出すこと、解決のためのアイデアを議論すること、それを速やかに実践するプロセスを体験させること、およびデジタル世界と現実世界とをつなぐデザインの面白さを体験してもらうこと、等の目的を果たすことができたと考える。
キックオフイベントの様子 | 競技フィールドの全景 |
自動操縦中の画面の様子 | 集合写真 |