Business Opportunities Hidden in Plain SightBusiness Opportunities Hidden in Plain Sight
講演者:
Jan Chipchase (Executive Creative Director of Global Insights)
見逃しがちな、人々のなにげない「日常」の行動に隠されたニーズをどう炙り出せるのか、またそれらを明らかにすることでビジネス的にどのような示唆が得られるかを説く本です。著者はノキアで経験を積んだ後2010年にfrogに参加し、これまで世界50か国以上の市場でリサーチを実践してきました。その経験から培った、観察調査手法=「デザインリサーチ」の極意を本書で明らかにしています。先進国から途上国までさまざまなフィールド事例について著者が「日常の光景」や「行動」に寄せる視点は非常に面白く、鋭い問いかけに満ちており、読者自身も、自分の仕事の内容や身の回りの風景を見直すきっかけになるような本だと思われます。また本書はIDEOのCEOティム・ブラウン氏、『誰のためのデザイン?』著者のドン・ノーマン氏からも推薦が寄せられております。
Time & Date:
2014年3月13日(木)13:00~14:30 / March 13 (Thu), 2014
会場/ Venue:
総合研究2号館3階 マルチメディア講義室
Multimedia Lecture Room, 3rd floor of Research Bldg. No.2 at Yoshida Main Campus
講演者略歴:
世界的なデザインコンサルティングファームfrog(フロッグ)でグローバル市場調査・分析部門であるGlobal Insightsのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務める。ノキアの市場調査のディレクターを経て現職。これまで日本、中国、アフガニスタン、ウガンダ、ブラジルなど世界50カ国以上でリサーチを行ってきた。彼の分析はニューヨーク・タイムズ、BBC、エコノミスト、ナショナル・ジオグラフィック、WIRED、日経ビジネスなどで取り上げられた。
また、これまで米国のスタンフォードやマサチューセッツ工科大学(MIT)、英国の王立美術大学、インドの国立デザイン研究所などで教鞭をとってきた。2007年にTED登壇、2011年にはファスト・カンパニー誌の「ビジネス界でもっともクリエイティブな100人」に選出された。日本に10年間滞在した経験をもち、現在は日本人の妻とアメリカに住んでいる。
著書概要:
・邦題 『サイレント・ニーズ――ありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探る』
・原書
Hidden in Plain Sight: How to Create Extraordinary Products for Tomorrow’s Customers by Jan Chipchase and Simon Steinhardt
http://www.amazon.com/dp/0062125699
講演報告:
本フォーラムでは世界的なデザインコンサルティングファームfrog(フロッゲ〕でグローバル市場調査・分析部門であるGloba1Insightsのエゲゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務める、Jan氏をお招きし、デザインリサーチについて、その事例を交えながらお話をして頂いた。
講演の冒頭、Jan氏は参加した学生に対して「卒業後はアカデミックに残る?それとも企業に勤めたい?」、「海外で働きたい?」などの質問を投げかけた後、決して優秀ではなかった学生時代、ノキアでの経験など自らの経歴から話を始められた。その後、現在のfrogでの活動概要や氏が立ち上げられたデザインブランドについて、そして氏の経験を通じて考えられる、日本企業の5つの特徴などの話題から講演は徐々に本題であるフィールドリサーチへと進んでいった。
まず氏が考えるフィールドリサーチの本質や心構えなどについて簡単にお話された後、氏も参加されたミャンマーでのプロジ工クトを例として挙げ、より具体的な事柄についてご紹介頂いた。その内容はリサーチを実施した際のチーム編成やメンバーの役割、そして、(1)field research,(2)Synthesis,(3)concepting,(4)pilotingという実際のフィールドワークのプロセスについてなど、より実践的なものであった。この具体的な事例を通じたお話に限らず、全体を過して氏のご講演は現場で実際にリサーチされてきたリサーチャーとしての目線であり、所々にその哲学が覗く、大変興味深いものであった。
講演の最後、質疑応答では「どのようにリサーチメンバーを選ぶのか」「プロセスについてもう少し具体的に教えて欲しい」「クライアントを現場に連れて行く事はあるか」などの質問が飛ぴ、それぞれに対して丁寧にお答えを頂いた。質疑応答を含めても一時間強のご講演であったが、時に参加者に質問を投げかけながら終止、飾る事なくフランクにお話頂き、普段あまり知る事のないデザインリサーチの実際を垣間みることのできる、示峻に富んだ時間となった。