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デザインスクール教科書シリーズ 第2号を公刊しました

山内裕, 平本毅 & 杉万俊夫. (2017). 『組織・コミュニティデザイン』共立出版.

 京都大学デザインスクール教科書シリーズの2番目となる本書は、デザイン学共通科目「組織・コミュニティデザイン論」の教科書として練り上げてきました。

 本書 は、「社会」のデザインとは何かを追求するものです。デザインスクールは「社会のシステムやアーキテクチャ」をデザインすることを目指して設立されました。そこで社会科学の視座から、社会をデザインするということはどういうことなのかを議論してきました。

 価値観が多様化するとともに、伝統的な社会の枠組みが疑問に付され、常に社会の意味を考え続けなければならない現代において、もはや我々は社会というものを実体としては捉えることはできません。社会は、人々の具体的な社会的・物質的状況においてなされる身体的・言語的実践を通して、都度現前しています。 実践は、 個々の人々の性質や客観的な状況には還元できず、人々の間での相互行為を通して、相互主観的に遂行されます。

 このような考え方にもとづいて、社会をデザインするということを議論していきます。主体であるデザイナーが、客体である社会をデザインするという主客分離の前提では、デザインを捉えることができません。主体は客体に巻き込まれ、客体をデザインするということは、主体をデザインすることでもあります。従来の意味ではデザインを考えることができません。常に、相互主観的に自分が何かを呈示しながら、デザインしなければなりません。

 本書では、便宜的に 3つの部に分けています。まずある程度枠組みがわかりやすい形で見られる「組織」のデザイン、もう少し流動的な形の「コミュニティ」のデザイン、最後にさらに捉えどころのない「文化」のデザインです。従来から議論されてきた組織やコミュニティのデザインをより根本的に問い直し、さらに文化という新しい視座によってデザインを捉えようという野心的な試みです。

 この議論を通して、デザインを「社会の限界点としての外部性を内部に節合すること」と定義しました。文化は他者との出会いの中で社会の外部性に関わる概念であり、新しい文化をデザインすることは、それをなんとか内部において形にしていくことです。同時に、現在の高度資本主義社会において、デザイン概念自体が注目を集める理由は、デザインの持つ外部性 にあると言えます。

 本書は、このような社会のデザインを考え始め、新しいデザイン学を確立する活動への誘いです。

共立出版 / Honya Club / Amazon / 楽天 / 紀伊国屋

参考:京都大学デザインスクール・テキストシリーズ