[京都大学経営管理大学院 山内 裕 講師] http://www.design.kyoto-u.ac.jp/faculty/y-yamauchi.html
国際的な競争力を有する料亭などの食サービスに注目し,そのデザインの方法や論理を明らかにし,一般的な新しい経営理論モデルを提供する.このデザインは,ただ美味しいというものを目指すのではなく,距離感のある食材を組み合せて変化を出し,新しい食感や味により驚きをもたらし,全体として「個性」を作り出す.これら文化的文脈に根差したサービスは,画一的な理論では語り切れず,厚みのある理論構築が求められる.このような事業は,利益を最大化することを一義的な目的とせず,絶え間ないサービスの品質を通して,客,専門家,同業者に認めてもらうことが最大の目的である.また,このようなサービスは,経験を積み,高いレベルの驚きを求める客との相互理解が前提となっている.しかし近年の情報化との共存は難しい課題となっている.ターゲットとしていない客層による匿名の口コミで店の評価が決まることもある.今後このようなサービスが経済の重要な位置を占めることを考えると,新しい情報環境をデザインする必要がある.