江戸時代の市井の人々は厳しい日常の中でも、その中に歓びをみつけ楽しく暮らしていたようです。私達も肩の力を抜いて、暮らすとは何かをデザインを通して考えてみましょう。
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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引間孝典 | 三菱電機(株) デザイン研究所 | インダストリアルデザイン |
泉福剛 | 三菱電機(株) デザイン研究所 | インターフェイスデザイン |
佐野恵美子 | 三菱電機(株) 先端技術総合研究所 | センシング
システム |
瀬尾和男 | 三菱電機(株) 人事部人材開発センター | コンピュータ
サイエンス |
現代の市場は「売れる事を最優先にした市場」と言えます。 その結果、市場にある商品は似たものばかりになっています。それらの商品の中には、本質を捉えたものもありますが、多くの商品がその模倣であり、ユーザーそれぞれの多様な要求を満たす市場にはなっていないように思います。この傾向が進めば、分かりやすい、売れやすいという基準に納まらないものはこぼれ落ちてしまい、物は溢れていても、欲しいものがない時代が来るのではないかと危惧しています。
これは、「売りやすいもの」をつくるという考えから生まれている状況だと思います。これを打開するには、潜在的な価値を見いだす目と、それを伝える力が作り手に必要だと思います。私は、自分のことのように他人を思いやれる日本人には、その素養が備わっているのではないかと考えています。
例えば俳句の場合、「楽しい」「悲しい」というような直接的な表現を用いることなく、情景を表現することでその背後にある心の動きを読み手に伝えます。そこにはあるゆるものから価値を見出す観察力と徹底した客観視が欠かせません。
今回のワークでは、暮らしの中の些細な価値を発見するための観察を実施し、ラッピッドプロトタイプを行います。これにより頭で考えるだけでなく、アイデアを客観的に確認し、考えを深め、最終的には他者に伝わる表現にまとめていく過程を体験していただきます。
このワークを通して、周りの物事に対する観察力を深めることに加え、自由な発想力や伝える力を養うことを目指します。
「観察により日常生活の中から多様な価値を発見する方法」「ラピッドプロトタイプによるアイデアの検証手法」「プロトタイプを用いた表現手法」を体験しながら、既存の価値基準に囚われない視点を活かしたデザイン手法を体得していきます。
観察、ラピッドプロトタイプを活用しながら、俳句のように、自分の主観を差し挟まないことで、本質的価値の純度を高めた、他者も共感することのできる形を見いだす。
【デザイン手法】普遍的な魅力を備えたデザインを創出する手法