「不便の効用」とは聞きなれない言葉だと思いますが,効率一辺倒のデザインでは立ち行かない,または本質を外してしまう分野が増えている現代において,一つのデザイン指針になるのではないでしょうか?
不便だからこその効用を求めて,無人島のアドベンチャーツアーに参加する人が増えています.ただ,それは昔の暮らしに戻るだけでは事足りません.不便の効用をもっと実感できる体験を,新たにデザインしてみましょう.
現代社会だからこそ実現できる「新しい不便」を考えてみるのも面白いと思いますよ.ただし,沖縄県屋那覇島で実装できることが制約条件です.
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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川上 浩司 | 京都大学デザイン学ユニット | システムデザイン |
森 孝徳 | ヤンバルコビト | サービスデザイン |
不便であることの効用(不便益)を活用するデザインは,京都大学サマーデザインスクールでは継続して実施されているテーマである.昨年までに,以下のアイディエーションメッソッドによるデザインワークを実施した.
たとえば,2012年の「素数ものさし」は,価値発掘型で発想された.これら3つのメソッドは,「便利/不便」と「益/害」という二つの軸を組み合わせると,以下のように整理できる.
こうすると,もう一つの組み合わせが足りていないことに気づく.つまり
である.不便であることが害でしかないと考えられていたところに,何を投入すれば「益」になるのか?
極端ではあるがフィールドとして無人島を取り上げ,そこでの生活体験ツアーをデザイン対象とする.アクセスしにくい,インフラがない,食料は自給自足という不便を益に転じさせるツアーを考える.ただし,沖縄県屋那覇島で実装可能であることを条件とする.
人を含む系(システム)をデザインする際には,効率化(自動化を含む)や高機能化以外にも指針があり得ることを,実体験を通して理解する.さらに,その具体的指針の一つとして不便の効用を採用するときの,デザインメソッドを知る.
不便の効用を活かすというデザイン指針を,実施者(川上)がレクチャーする.
【デザイン手法】アイディエーションには,ブレストバトル(ブレインストーミングの4原則を導入した発想段階と,グループ間でのバトルを導入した収束段階から構成される手法),ならびに大喜利方式の強制発想を組み合わせる。