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06 不便の効用を活用させる無人島
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「不便の効用」とは聞きなれない言葉だと思いますが,効率一辺倒のデザインでは立ち行かない,または本質を外してしまう分野が増えている現代において,一つのデザイン指針になるのではないでしょうか?
不便だからこその効用を求めて,無人島のアドベンチャーツアーに参加する人が増えています.ただ,それは昔の暮らしに戻るだけでは事足りません.不便の効用をもっと実感できる体験を,新たにデザインしてみましょう.
現代社会だからこそ実現できる「新しい不便」を考えてみるのも面白いと思いますよ.ただし,沖縄県屋那覇島で実装できることが制約条件です.

実施者
氏名 所属 専門分野
川上 浩司 京都大学デザイン学ユニット システムデザイン
森 孝徳 ヤンバルコビト サービスデザイン
課題内容

不便であることの効用(不便益)を活用するデザインは,京都大学サマーデザインスクールでは継続して実施されているテーマである.昨年までに,以下のアイディエーションメッソッドによるデザインワークを実施した.

    便利の害を見極め,それを「不便にする」ことで解決する「問題解決型」
    便利なものをとりあえず不便にしてみて新たな価値を掘り起こす「価値発掘型」
    他事例とのアナロジーなどデザイナの経験やヒラメキを活用する「創発型」

たとえば,2012年の「素数ものさし」は,価値発掘型で発想された.これら3つのメソッドは,「便利/不便」と「益/害」という二つの軸を組み合わせると,以下のように整理できる.

    「便利害」を解決する問題解決型
    「便利益」を崩してみる価値発掘型
    「不便益」を閃めく創発型

こうすると,もう一つの組み合わせが足りていないことに気づく.つまり

    「不便害」をスタート地点とする場合

である.不便であることが害でしかないと考えられていたところに,何を投入すれば「益」になるのか?

極端ではあるがフィールドとして無人島を取り上げ,そこでの生活体験ツアーをデザイン対象とする.アクセスしにくい,インフラがない,食料は自給自足という不便を益に転じさせるツアーを考える.ただし,沖縄県屋那覇島で実装可能であることを条件とする.

教育目標

人を含む系(システム)をデザインする際には,効率化(自動化を含む)や高機能化以外にも指針があり得ることを,実体験を通して理解する.さらに,その具体的指針の一つとして不便の効用を採用するときの,デザインメソッドを知る.

デザイン理論・手法
【デザイン理論】

不便の効用を活かすというデザイン指針を,実施者(川上)がレクチャーする.

【デザイン手法】

アイディエーションには,ブレストバトル(ブレインストーミングの4原則を導入した発想段階と,グループ間でのバトルを導入した収束段階から構成される手法),ならびに大喜利方式の強制発想を組み合わせる。

スケジュール
1日目
午前
  • アイスブレーク
  • インプット「沖縄県屋那覇島について」
  • フリーディスカッション「日本にたくさん「アクセス可能な無人島」があることの便利と不便について」
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • アイディエーション1「便利な無人島ツアー」
  • レクチャー「不便益のシステム論」
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • アイディエーション2「不便益な無人島ツアー」
2日目
午前
  • レクチャー「ブレストバトル」
  • ブレストバトル「グループ別のブレスト→グループ対抗プレゼンバトル」
  • アイデアの交換「深化と統合」
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • プロトタイピングによる肉付け
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • プレゼンに向けたアイデアの精緻化
最終日
午前
  • プレゼンテーション準備(KRP)
午後
  • プレゼンテーション(KRP)