経営コンサルタントとして企業の課題解決を専門に仕事をしている一方で、デザイン思考を活用した新たなアイデア等の導出を京都大学フェローとして学んでいます。文化財というキーワードで、私自身が悩んでいることを率直にテーマにしてみました。3日間のワークで一気に妙案に至るとは限りませんが、日本や京都が考える価値のあるテーマだと思っています。
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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磯崎 彦次郎 | (株)野村総合研究所
社会システムコンサルティング部 |
イノベーション、海外新事業創造 |
日本、特に京都には、美術品や建物をはじめ文化財を有する企業が存在する。しかし、文化財の活用は、資料館として公開したり寄贈や寄付をしたりする形式が多く、企業の中では文化財を維持・管理することが逆に企業の収益を悪化しているという指摘がされることが少なくない。
この点を問題意識として、文化財という独自の資産を活用して、企業の価値(収益やブランド)を高めるための画期的な方法を検討していきたい。具体的には、いくつかの候補(日新電機、島津製作所、任天堂など)の中から企業を特定し、その文化財を確認する。その上で、どのような形で文化財を活用すれば、誰にどのような効果があり、企業の価値向上に役立つというストーリーを作成する。
ストーリーは、文化財を活用する相手(一般市民・行政・美術館など)に対して魅力的に語られるべきであるとともに、企業の経営陣に対して文化財活用を促す内容である必要がある。つまり、ストーリーを相手に併せて、複数のバージョンを作成することを考えている。
文化財の意義や社会的価値を損なうことなく、企業の経済合理性の文脈において、デザイン思考がどのように機能するのかについて理解を深める。
相手に合わせてストーリーをどう展開・変更するべきか、どう伝えるべきかについて習得することが可能であると考える。特に、デザイン思考で活用されるプロトタイピングを相手・内容に応じてどう使い分けるかへの理解を深める。