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06 プロダクト・デザイナーのアイディア発想法から学ぶ—“新しい京みやげ”を題材として—
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 プロダクトデザイナーは何をデザインしているのでしょう。“橋のデザインを依頼されたときに、橋のデザインをしてはいけない。川の渡り方をデザインしなさい。”これは、プロダクトデザインの本質をうまく表した言い方でよく使われるんですが、この言い回しの中に、それを用いる人の存在を忘れてはいけない。と、いうことが含まれているんです。だから、デザインをする場合、対象によって、それを使う人、その社会、その文化、その歴史など、様々な事柄の理解が、必要になる訳です。プロダクトデザインは、そうし た事柄をベースにして人とモノとの関係を創造することなのです。
実施者
氏名 所属 専門分野
塚田 章 京都市立芸術大学
美術研究科
プロダクト・デザイン
寳角 光伸 京都市立芸術大学
美術学部
プロダクト・デザイン
中坊 壮介 京都工芸繊維大学
大学院工芸科学研究科
プロダクト・デザイン
課題内容
デザイナーの問題解決手法は様々で、テーマに対してのアプローチに於いてもデザイナーの個性が大きく作用していて、その個性の広がりこそが新たなデザインを創出させる要となります。個性と言うと極めて個人的なもの、つまり客観性を有さない曖昧なものと受け止められるかもしれません。でもそんな事はありません。寄席の大喜利を思い浮かべて下さい。居並ぶ噺家は個性の強い人たちで、観客からのテーマに対して競い合うのですが同一テーマが個性に依ってどれほど違った展開となるかを楽しむのです。個性は違っても観客(社会)にどのように笑い(目的)を提供するかと言う部分では客観的な評価に曝されているのです。デザイナーの発想段階は将に噺家状態で、様々な情報をめまぐるしく頭の中でスクロールさせながら思考を重ねています。思考手順に定石などは無く、落とし所も極めて広範囲なものを求め、思考過程の自由な広がりこそを楽しんでいるのです。しかし社会との関係を見失う事はありません。寄席では観客に受けない状況を“すべる”と言いますが、プロはすべらせない技を身に付けています。プロデザイナーの仕事の基軸は社会との関係を見失わないという所に置かれているのです。
このワークショップでは自在に発想展開を繰り広げるデザイナーの問題解決の手法に迫って行きます。テーマは“新しい京みやげ”。京みやげというと何を思い浮かべるでしょうか。京都を訪れる観光客は増加していますが、特に東京オリンピック開催に向け更に増加していくと思われます。そうした観光客が買い求める “新しい京みやげ”をデザインしましょう。従来の枠にとらわれない今後の定番となる様な京みやげの創出が目標です。
教育目標
  1. プロダクトデザイナーが実践するデザインワークを追体験する。
  2. デザイナーの問題解決手法を実践、問題解決に帰結させるに至る思考プロセスを学ぶ。
  3. アイディアの展開及びフィジカル化。
  4. デザイン構想のプロトタイピング。
デザイン理論・手法
【デザイン理論】
  • デザイン教育理論(京都市立芸術大学デザイン科プログラムより)
  • デザイン造形基礎(京都市立芸術大学デザイン科プログラムより)
【デザイン手法】
  • プロダクトデザイン実技教育に於けるデザイン手法
  • デザインイメージの情報化
  • プロトタイピング(デジタルファブリケーション(レーザー加工機、3Dプリンター、ミリングマシン)及び木工製作機械を駆使)
スケジュール
1日目
午前
  • テーマ“新しい京みやげ ”の課題説明及びデザイナーの問題解決手法の紹介
    講義①“プロダクトデザイナーが実践するデザインワーク”
  • “京みやげ”デザインの実践(問題の抽出)
午後①
  • 講義②“プロダクトデザイナーが実践するデザインワーク”
  • “京みやげ”デザインの実践(情報収集)
午後②
  • “京みやげ”デザインの実践(アイディア展開)
2日目
午前
  • 講義③“プロダクトデザイナーが実践するデザインワーク”
  • “京みやげ”デザインの実践(アイディア展開)
午後①
  • “京みやげ”デザインの実践(デザインイメージの情報化)
午後②
  • “京みやげ”デザインの実践(プロトタイピング)
最終日
午前
  • プレゼンテーション準備
午後
  • プレゼンテーション