課題内容
デザイナーの問題解決手法は様々で、テーマに対してのアプローチに於いてもデザイナーの個性が大きく作用していて、その個性の広がりこそが新たなデザインを創出させる要となります。個性と言うと極めて個人的なもの、つまり客観性を有さない曖昧なものと受け止められるかもしれません。でもそんな事はありません。寄席の大喜利を思い浮かべて下さい。居並ぶ噺家は個性の強い人たちで、観客からのテーマに対して競い合うのですが同一テーマが個性に依ってどれほど違った展開となるかを楽しむのです。個性は違っても観客(社会)にどのように笑い(目的)を提供するかと言う部分では客観的な評価に曝されているのです。デザイナーの発想段階は将に噺家状態で、様々な情報をめまぐるしく頭の中でスクロールさせながら思考を重ねています。思考手順に定石などは無く、落とし所も極めて広範囲なものを求め、思考過程の自由な広がりこそを楽しんでいるのです。しかし社会との関係を見失う事はありません。寄席では観客に受けない状況を“すべる”と言いますが、プロはすべらせない技を身に付けています。プロデザイナーの仕事の基軸は社会との関係を見失わないという所に置かれているのです。
このワークショップでは自在に発想展開を繰り広げるデザイナーの問題解決の手法に迫って行きます。テーマは“新しい京みやげ”。京みやげというと何を思い浮かべるでしょうか。京都を訪れる観光客は増加していますが、特に東京オリンピック開催に向け更に増加していくと思われます。そうした観光客が買い求める “新しい京みやげ”をデザインしましょう。従来の枠にとらわれない今後の定番となる様な京みやげの創出が目標です。