
古来、人間は学問や感性を、自然界から学んできた。しかしながら、様々なデザインは基本的にはデザイナーの手作業によるところが大きい。
多種多様なデザインを作り出すという要求に対して、技術を用いてデザイン生成のプロセスの一部でも自動化できないかというのは重要な課題である。
自然界には多様なパターンがある。それをモデル化する等により、自然界の多様なパターンをデザインに取り入れるというのは一つの考え方である。
この考え方に基づいたアプローチとしてフラクタルを用いるものや、流体力学に基づいた流体の可視化の方法等がある。
しかしこれらの方法で作り出させたデザインは、主にコンピュータで生成するため画一化の傾向をもっており、より偶然事象が入った自然現象にもとづくデザインの生成が望まれる。
ここでは、流体(絵の具、油等)に音の振動を与え上下に飛び跳ねる現象を作りだし、それをハイスピードカメラで撮影するという手法による多様なデザインの自動生成を試みる。
種々な原材料が持つ異なる粘性、色またそれに動きを与える振動パターン、さらには短時間で生起する現象を高速度でとらえるデジタル映像技術などがあいまって、極めて多様で偶然性に富んだパターンが生成される。
これは自動生成された有機的なデザイン(図)であると同時に、自然科学を利用したメディアアートとしてとらえる事も出来る。
※受講者に外国人がいる場合は英語で対応可能。