関係者・関係組織
実施者
松本 裕司(京都工芸繊維大学 工芸科学研究科 デザイン経営工学専攻)
木谷 庸ニ(京都工芸繊維大学 工芸科学研究科 デザイン経営工学専攻)
前 稔文 (大分工業高等専門学校 都市・環境工学科)
課題内容
古くから、日本のあかりは単に明るく照らすという機能のみでなく、演出性や情緒性といった感性的な価値が大事にされてきました。
そして京都に代表される歴史的な街では、伝統工芸に下支えされた多様なあかりを文化面はもとよりビジネス面からも効果的に用いる素地が形成されてきました。
一方で、あかりに限らず、伝統的な技や手法、意匠様式等々のデザインリソースには限りがあり、伝統と今を融合させた新しさが常に模索されてきたことも事実です。
このワークショップのテーマは、アルゴリズミックデザインという数理的な手法を用いて、京の夜をいろどる“あかり”を創出することです。
アルゴリズムとは問題を解くための手順を定式化したもので、複雑化/高度化/多様化したデザイン問題を解くための手法として、コンピュータプログラムを用いたアルゴリズミックデザインが注目されつつあります。
その実現を後押ししているのが3Dプリンターやレーザーカッターに代表されるデジタルファブリケーション技術の向上と普及です。
このITに根ざした新たなデザイン手法を用いて「京の夜をいろどる」という感性的・情緒的な課題にチャレンジします。
具体的には照明を制作しますが、そのプロセスを通して、京都らしさとは何か、日本らしさとは何か、デザインとは何か、情報とは何かを考えていきます。
また、フラクタルやオートマトンといったやや高度なアルゴリズムにも踏み込みますが、四則演算、二次関数、三角関数、極座標、数列、ベクトル、
乱数といった馴染みの数学を組み合わせて用いながら、如何にして魅力的なものが提案できるかも一つの目標になります。
なお、道具としてエクセル(VBA)とペーパーカッティングプロッタを使用します。
デザイン理論
理論というわけではないですが、左脳(理論)と右脳(感性)の両方を行き来しながら探索的にワークを進めていきます。あえて、理論を挙げれば、数学、情報処理に加え、造形理論です。
むしろ、結果的には、あかりの生成のオリジナル理論を構築することになります。
プログラミングの基礎に関しては、こちらで用意したテキストとサンプルをもとにドリル形式で学んでもらいます(主に初日)。
もし事前学習をするとすれば、三角関数、極座標、数列、ベクトルなどの高校数学をちょっと思い出しておくことです。