テーマ

オープンエデュケーションとビッグデータを利用した
Personalized Learning支援環境のデザイン
関係者・関係組織
実施者
飯吉 透 (京都大学 高等教育研究開発推進センター・教育学研究科)
酒井 博之(京都大学 高等教育研究開発推進センター・教育学研究科)
梶田 将司(京都大学 情報環境機構・学術情報メディアセンター)
土佐 尚子(京都大学 情報環境機構・学術情報メディアセンター)
課題内容
知識基盤社会が成熟しつつある中、急激な社会構造の変化に対応可能な高等教育システムの抜本的な刷新が、世界規模で求められている。 従来の大学によって準備され提供されるカリキュラムや講義を、学生が受動的に「消化」し、あらかじめ定められた期間内に単位や学位を取得する「Supply-Push」型の教育システムには限界があり、 個々人のニーズや状況に応じ、多様な学習方法によって、いつでも必要とされる知識や技能を習得することができるような「Demand-Pull」型の次世代高等教育システムの構築が必要である。

オープンエデュケーションによって、MOOCs(Massive Open Online Courses)やLMS(Learning Management System)をはじめ、 オンライン上で誰もが無料で自由に使える教育ツール、プラットフォーム、教材、講義の共有や利用が進み、その一方で、 それに伴って収集・蓄積可能な多種多量の学習情報や学習者情報から構成される教育的ビッグデータに関心が集まっている。 しかし、このような教育的ビッグデータをいかに分析・活用して個々人の学びに役立てていくのか、またそのためにどのような学習支援環境が必要なのかは、まだ模索段階である。

そこで本ワークショップでは、オープンエデュケーションとビッグデータを利用し「自己駆動された自律的な学び(self-driven & self-directed learning)」 「個々人に最適化された学び」を実現するためのPersonalized Learning支援環境のデザインを、教育と教育以外分野のPersonalizationに関する先行事例の概観と分析やプロトタイプ開発を通じて試みる。
教育目標
  • オープンエデュケーションによって提供される無料で自由に使える教育ツール、プラットフォーム、教材、講義などについて、その現状、可能性や課題について理解する。
  • Personalized Learningを支援する環境にはどのような構成要素が必要となり、どのような条件を満たせばPersonalized Learningが効果的に行われるかを理解する。
  • 上記2点を踏まえ、オープンエデュケーションを利用したPersonalized Learning支援環境のデザインを行う。
  • Persona、Use Scenario、Customer Journey Mapping、Backward Design等のデザイン手法を、グループワークによる実践を通して習得する。
デザイン理論
伝統的な教育システムデザイン理論としては、ADDIE(Analysis, Design, Development, Implementation, & Evaluation)に代表される モデリングのための理論的フレームワークがあるが、本ワークショップでは、それだけに囚われず、様々なデザイン手法を複合的に組み合わせて問題発見・解決を図る。
デザイン手法
  • Modeling(Persona、Use Scenario、Customer Journey Mapping)
  • Backward Design
  • Rapid Prototyping
スケジュール
一日目
午前
  • テーマ・目的・プログラムの概要や流れについての説明、自己紹介。
  • オープンエデュケーションについて、ミニ講義と現状、可能性や課題に関するディスカッション。
午後
  • Personalized Learningについて、教育分野における先行事例などを参照しながら共通理解を深める。
  • Personalized Learning支援環境のプロトタイプをデザイン。
ニ日目
午前
  • 1日目の振り返りとまとめ。
  • 教育以外の分野におけるPersonalizationの成功事例から学びつつ(可能ならスタディツアーを行い)、要点やアイデアを抽出する。
午後
  • 午前のケーススタディを踏まえ、1日目にデザインしたPersonalized Learning支援環境のプロトタイプを改善し、社会的文脈・インパクトを考慮しながら拡張する。
三日目
午前
  • プロトタイプ・デザインの仕上げとまとめ。
  • 発表準備。
午後
  • プレゼンテーション