従来の製薬企業のビジネスモデルは薬物治療が前提でした。これからの医療は薬に拘らないアラウンド・ザ・ピル、さらにはビヨンド・ザ・ピルの概念の下、患者の真のアンメットニーズの解決が求められる時代へ突入すると考えています。参加者の皆さんには、製薬企業とは違う角度から自由闊達なご意見を頂き、私達と一緒に医療の未来を切り拓いて頂きたいと思います。
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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榊 敏朗 | 田辺三菱製薬 フューチャーデザイン部 | デジタルテクノロジー、創薬企画 |
小島 真一 | 田辺三菱製薬 フューチャーデザイン部 | 新規事業開発 |
増井 秀昭 | 田辺三菱製薬 育薬本部 | 精神・神経領域 |
木野 ゆりか | 田辺三菱製薬 フューチャーデザイン部 | 精神・神経領域 |
90年代後半から、高齢化や社会構造の変化によるストレスなどにより精神疾患が急増し、2011年から「5大疾病」と称されるようになった。一見、健康に見える人でも生涯で5.8%が精神疾患にかかると言われている。また、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など細分化が進み、一般人への理解を困難にしている。これら精神疾患における患者数内訳は、うつ病、統合失調症、不安障害の順に多い。
一例として統合失調症を挙げると、同患者は国内に約77万人(2014年, 厚労省調査)おり、潜在患者を含めると100人に1人が罹患している。近年効果的な薬剤療法が発達してきたと言われているものの、患者自身の判断で服薬を中止するなど、再燃リスクを抱えている。また自傷、他傷等の理由から入院患者の比率は21.4%(同上調査)にも及び、患者家族の負担も大きい。当該疾患は外観では判断が難しく、周囲からの理解が得られにくいという課題があり、これらが偏見(スティグマ)として治癒後の社会復帰の妨げの一因となっている。
本テーマでは参加者の皆さんに、自身ないしは身近な知人が患者もしくはその家族になった場合を想定してもらい、精神疾患に根ざす根本課題を考える姿勢を身に着け、社会共存の在り方を一緒に考え、その解決策を講ずることにより当該患者とその家族、地域社会の幸福を一緒にデザインしたいと考えている。
以下は、精神疾患の一例として統合失調症の事例を記載する。当日のWSでは、参加者が議論しやすい精神疾患に適宜変更して社会課題の解決方法をデザインする。
- 統合失調症の基礎知識を身に着け、理解を深める。
- 統合失調症と精神疾患に根ざす社会課題の認識と理解を得る。
- 固定観念に捕らわれない新しい視点による発想力を養う。 (特に患者の社会復帰を促進するためのスティグマ軽減策について)
- 自身を患者とその家族に投影したニーズ発掘(インサイトワーク、ペルソナ設定)
- 深層に根ざす本質的な課題を洞察するスキルの取得
- アイデアを具現化するための考察力
- ペイシャントジャーニーマップを通じて患者、家族、医療従事者、地域住民の関係を把握し、インサイトワークにより各視点からアンメットニーズを探る。
- バックキャスティングにより現行制度の延長線に肥大化する課題の回避策を考える。
- ペーパープロトタイピングによりアイデアを視覚化・整理し、具体策へ落とし込む。
- ペイシャントジャーニーマップ、インサイトワーク、ペルソナ設定、ブレインストーミング、バックキャスティング、プロトタイピング等。
- アイスブレイク
- 講義1:「精神疾患」について、体系的かつ分かり易く解説
- 講義2:「統合失調症とは? 抱えている課題は?」 (一例として)
- 「精神疾患テーマ」の決定:参加者とディスカッションして確定
- ペイシャントジャーニーマップの作成
- バックキャスティング:現行の社会保障制度、リアル社会の体制から課題を想定
- 社会的側面からの課題抽出をブレスト(スティグマ軽減、早期の社会復帰)。
- インサイトワーク1:患者とその家族の視点からの課題抽出(相互理解)
- インサイトワーク2:医療従事者から見た課題抽出(早期受診、状態把握)
- 川口医師(Skype会議)を交えたディスカッション
- 患者と家族の真の幸福についてディスカッション(総合判断)
- コンセプトの決定
- ペーパープロトタイピング:解決策の整理と絞り込み(見える化)
- 発表課題の最終確認
- プレゼンテーション準備(KRP)
- プレゼンテーション(KRP)