安全を支える仕事に興味のある皆さん,鉄道に興味のある皆さん,発明に興味のある皆さん,一緒に現実の問題解決にチャレンジしましょう!!
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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堀口 由貴男 | 京都大学 工学研究科 機械理工学専攻 | 人間機械系 |
小森 雅晴 | 京都大学 工学研究科 機械理工学専攻 | 機械力学 |
影山 真佐富 | JR西日本 鉄道本部 技術開発部 | 鉄道車両技術 |
中野 大輔 | JR西日本 鉄道本部 技術開発部 | 鉄道車両技術 |
どのようなサービスにも不可欠な技術システムの保守管理は人手によって支えられています.その仕事は必ずしも作業者にとって具合よくデザインされているとは限りません.
たとえば私たちの生活の足として身近な存在の電車.電車は毎日大勢の乗客を乗せて運行しています.故障なく動いているのが当たり前の電車ですが,安全な運行のためには検査と保守が欠かせません.電車・鉄道のメンテナンス業務には,機械化や自動化が難しく,人力作業主体のものが数多くあります.車両下回りの清掃は粉塵にまみれます.また,保守部品交換は部品一つ一つが重たく重労働です.このようなメンテナンス業務を作業者にとって負担の少ないものにするために新たな工夫をデザインできないでしょうか?
アルトシューラーは,膨大な数の特許の分析を通じて,分野を超えて利用できる発明的問題解決の理論TRIZを編み出しました.TRIZには優れた発明に共通する矛盾克服策が法則化され,具体的問題の解決策を発想するため手法が体系化されています.本テーマでは,TRIZの思考法とツールを駆使して,鉄道車両メンテナンス業務の問題分析と解決策の創出に取り組みます.参加者は,実際の作業の観察を通じて認識した問題に潜む矛盾を整理し,過去の発明が成功した矛盾解消のパターンをヒントにして問題解決のアイデアを練る,という一連の問題解決プロセスを体験します.
- 問題の本質を整理・把握するための思考法を身につける.
- 一見無関係に見える事象間に共通性を見出し問題解決に結びつける思考法(類比思考)を身につける.
- 社会技術システムの安全を支える仕事について学ぶ.
- TRIZ
TRIZは,アルトシューラーと彼の後継者が発明の研究から導き出した創造的問題解決のための科学的方法論.優れた発明は矛盾を見事に克服しており,その問題解決には分野を超えて利用できる共通のパターンがあることをアルトシューラーは発見し,それらのパターンを活用するための問題の定義方法,分析方法,発想のテクニックなどをTRIZとして体系化した.
本テーマでは,TRIZで最初に作られた「40の発明原理」を利用して,フィールド調査で認識された具体的問題の解決に取り組む.
TRIZおよび関係する手法群については,実施者がミニ講義で紹介する.参考資料として以下を適宜参照する.
- 産業能率大学CPM/TRIZ研究会「TRIZの理論とその展開」
- 高木芳徳「トリーズの発明原理40」
【デザイン手法】
- 「40の発明原理」と「矛盾マトリクス」
多くの「問題」は矛盾した2つ以上のことを一度に達成しようとするところに生じる.「40の発明原理」は矛盾解消策を法則化したもので,「矛盾マトリクス」は直面している矛盾に対して有効な発明原理を見つけるためのツール.
- 「因果関係モデル」を用いた問題分析
「因果関係モデル」は,問題が発生している状況を関与する機能と作用の構造として図解表現し,取り組むべき課題を明確にする.
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テーマ説明
- TRIZについてのミニ講義
- 吹田総合車両所に移動(交通費は自己負担)
- 鉄道車両メンテナンス作業現場の見学
- 課題整理
- 問題分析
- 因果関係モデルの作成
- 矛盾マトリクスの適用
- アイデア出し
- 発明原理の適用
- 原理適用結果の具体化
- 解決策のまとめ
- プレゼンテーション準備(KRP)
- プレゼンテーション(KRP)