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14 翻訳できない言葉を超えて文化を伝える
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コミュニケーションの効率性を求めるなら英語が便利でしょう。しかし、言語にはその地域が育んできた文化や慣習を表現する言葉がたくさんあります。そういった翻訳できない言葉を超えて文化を伝える方法を考えましょう。

方言や外国語を話す方、好きな方、集まれ!
専門分野は問いません。

実施者
氏名 所属 専門分野
村上 陽平 京都大学デザイン学ユニット Services Computing,Intercultural Collaboration
石田 亨 京都大学情報学研究科社会情報学専攻 Artificial Intelligence,InterculturalCollaboration
林 冬惠 京都大学情報学研究科社会情報学専攻 Services Computing,InterculturalCollaboration
Arbi Haza Nasution 京都大学情報学研究科社会情報学専攻 Artificial Intelligence,InterculturalCollaboration
中口 孝雄 京都情報大学院大学 Services Computing,Intercultural Collaboration
課題内容

深層学習により機械翻訳の精度が大幅に向上しています。昨年11月にGoogleが機械翻訳を深層学習ベースのものに置き換え、世界に大きな衝撃を与えました。11月時点では8つの言語ペア(英仏、英独、英西、英葡、英中、英日、英韓、英トルコ)を、そして3月にはさらに3言語ペア(英露、英ヒンズー、英越)をサポートし、世界人口の約1/3をカバーしました。今後も順次対応言語が増え、学習を繰り返すことで翻訳精度がさらに向上すると言われています。

それでは、もうこれで言語の壁は取り払われ、多言語でのコミュニケーションが円滑に行われるのでしょうか。たとえば、ドイツ語には「Kummerspeck」という言葉があります。直訳すると「悲しいベーコン」となり、本来の「悲しみのあまり感情的になってやけ食いをして太る」というニュアンスが伝わりません。さらに、ドイツではより一般的なソーセージよりも脂肪分の多いベーコンを表すSpeckを用いているところに、罪悪感のようなものを込めているように感じずにはいられません。

このような翻訳できない言葉は、その言語を話す地域の文化や慣習が色濃く反映され、他の言語には見られない概念に割り当てられています。このテーマでは、このような翻訳できない言葉のニュアンスや意図に着目し、その背景にある文化を伝える方法を考え、異文化間の相互理解を促進させる仕組みを考案し提案します。

なお、本テーマでは、創出したアイデアの一部でも形にすることを目指します。プロトタイピングには、実施者が10年以上継続している多言語サービス基盤「言語グリッド」やIoTデバイスなどを用いる予定です。

教育目標

普段何気ないコミュニケーションのために使っている言葉の独自性を再認識し、言葉のニュアンスの違いなどを通して、異文化理解力を鍛えます。

デザイン理論・手法
【デザイン理論】

機械翻訳を用いた多言語コミュニケーション時の問題について実施者が講義を行います。


【デザイン手法】

グループワーク全体を通して、101デザインメソッド(英治出版、2015)などを参考文献として、ブレインストーミングや半構造化インタビューなどのデザイン手法を実践します。

スケジュール
1日目
午前
  • 本テーマの主旨について説明を行い、その目的と方法を十分に理解します。
  • 各参加者が自分の言語の翻訳できない言葉を列挙します。
  • 列挙した言葉の翻訳できないニュアンスを分類し、翻訳者へのインタビューの質問を作成します。
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • 翻訳者や通訳者へのインタビューを通して、現場での経験や対応方法、ノウハウなどを学びます。
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • インタビュー調査を通して得られた問題を構造化します。
2日目
午前
  • 実施者が10年以上継続している言語グリッドプロジェクトと利用可能なツールの説明をします。
  • 翻訳できない言葉を伝える方法を検討し、アイデアを出していきます。
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • ストーリーボードなどを作成し、アイデアを具体化します。
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • 言語グリッドを実装している教員が参加し、アイデアの一部を言語グリッドを用いてプロトタイピングします。
  • 発表の方法について検討します。
最終日
午前
  • プレゼンテーション準備(KRP)
午後
  • プレゼンテーション(KRP)