日本庭園鑑賞は見るだけで退屈、と思っていませんか?庭がそんなにつまらないなら、京都中に庭が作られた筈はありません。庭は本来多目的な遊興の場。「庭に遊ぶ」という視点で見直したとき、庭園の新しい姿があなたの前に現れてきます。
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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笠原秀一 | 京都大学学術情報メディアセンター | 観光情報学 |
狩野芳子 | 声楽家・ライター | 庭園学 |
齋藤小百合 | 庭文化研究所 | 芸術学 |
山田耕三 | 花豊造園株式会社 | 庭園学 |
町田香 | 京都造形大学 | 日本庭園史 |
古くは神泉苑から、新しくは桂離宮や無鄰庵まで、京都には日本庭園が数多く存在しており、その形式も池泉、露地、回遊など多様性に富み、時代も平安初期から中世、近現代に至るまで長期に渡る。しかし、現代における庭園の利用は鑑賞・回遊といった「見る利用」に重きが置かれており、一般に親しまれているとは言いがたい。修学旅行で仕方なく見学した、という記憶しかない人も多い。だが、本来庭園は多様な利用が為されてきた場である。例えば、江戸期の大名庭園では、人をもてなす場、遊興の場として「遊ぶ利用」が為されてきたとする研究がある。また、外国人にとって日本庭園はエキゾティックな存在であり、近年では結婚式会場として利用されるケースも出てきている。このような多義的な場としての庭園のあり方は再評価されるべきである。
このような本テーマでは、観光における利用に焦点を当て、「見る庭園から遊ぶ庭園」という視点を軸に、日本庭園をもっと観光に活用する手法をデザインする。具体的には、庭園所有者と観光事業者、観光客といった関係者が受け入れられる庭園の活用手法を提案する。必須とはしないが、情報技術の活用を織り込むことは歓迎する。
本テーマは、古くから鑑賞されている庭園のような観光資源についても、改善対象として意識するようになることを第一の目標とする。実地観察やインタビューによって得られた気づきや問題点をどのように共有し、関係者に受け入れられる提案として形作るかという手法を、サービスのプロトタイピングを通じて習得する。文化財庭園の利用には、観光と保存という二つの異なるベクトルが存在しており、両者の協調という観点はデザイン上重要なファクターとなる。