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34 地面について
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ひたむきに、下向きに―。3日間、地面について考え尽くしましょう。

実施者
氏名 所属 専門分野
北 雄介 京都大学 学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット 都市論、デザイン学
木村 健一 公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科 美学、情報デザイン
山本 恭裕 京都大学 学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット HCI、ソフトウェアデザイン
課題内容

街を歩いて地面を見て、得られた構想をスケッチに描き起こし、物語として編み上げることを通じて、地面の、もうひとつの可能性をデザインします。

地面はどこまでも続きます。わたしたちの住むまちでは、その地面に、何世代にもわたる多くの人々が刻印を続けてきました。いわば地面は、人類が共同で描き続けてきた、大きな大きな「一枚の絵」です。
 しかしながら現在地面は、「道路」「Aさんの敷地」「Bさんの敷地」等に切り分けられ、「一枚の絵」としては捉えられていないようです。学術界においても、土木工学は「道路」や「河川敷」を、建築学は「敷地」を、経済学は「土地」を、地理学は「地形」「地層」をそれぞれ個別に扱い、全体としての「地面」の姿は見えてきません。
 本テーマワークではこうした境界を排除し、地面を「一枚の絵」として構想し直します。そうすることで、「道路」や「Aさんの敷地」のデザインはどう変わるでしょうか。そして街は、どう変わるでしょうか。地面から、都市のデザインを再考します。

具体的には、初日には軽いレクチャーの後、街を歩いて、地面に残されたデザインの痕跡を探ります。それと同時に、写真を撮りだめます。
 二日目には初日に撮影した写真の上に絵や文字を描き重ねる「コラージュ・スケッチ」を行なうことで、構想を立ち上げます。次に、その部分的構想を空間的・時間的に展開し、地面についての物語を編み上げます。最終的なプレゼンテーションも、コラージュ・スケッチと物語を軸にまとめます。

本テーマワークは特定の社会課題にフォーカスするわけではありません。地面にどんな可能性を見出だすかは参加者の皆様次第です。一言に地面と言っても、デザインの対象には、意匠面のみならず以下のような緒側面が含まれます(分類は便宜的)。
 ・意匠的側面:形態、素材、色彩、…
 ・工学的側面:強度、排水性、滑りにくさ、…
 ・意味的側面:機能、人間行動、記号、記憶、…
 ・物語的側面:作り方、使い方、広がり方、…
 なお地面はさまざまな学問分野と関連するばかりか、誰もが普段踏みしめているものですので、参加者の専門分野やその熟達度等は問いません。スケッチを行ないますが、絵は苦手でも大丈夫です。

教育目標

さまざまな学問領域を架橋する(むしろそれらに先立つはずの)包括的な概念(今回の場合は「地面」)について思考し、可能性を構築するということを、体験的に学んでいただけるのではないかと考えています。
 具体的なデザインの理論や手法(下を参照)については、本テーマワーク外でも応用いただけるものになるはずです。

デザイン理論・手法
【デザイン理論】

可能性構築としてのデザインについて、実施者(北)より導入し、参加者と議論をする予定です。
 物語については、歴史物語論や、時空間的可視化手法を適宜紹介します(杉浦康平「時間地図」など)。

【デザイン手法】

フィールドワークにおいては、実施者(北)の提案する"walk & write method"を導入します。
 構想のスケッチにおいては、手描きを基本としたフォトコラージュを行ないます(川俣正『通路』などを参照)。スケッチの技法は、実施者(木村)より簡単なレクチャーを行ないます。

スケジュール
1日目
午前
  • 全体のイントロダクション
  • レクチャーとディスカッション「地面について」および「デザインについて」
  • "walk & write method"の導入
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • フィールドワーク①(KRP周辺)
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • フィールドワーク②(場所は検討中)
  • コラージュ・スケッチの導入
2日目
午前
  • コラージュ・スケッチの実践
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • 得られたアイディアを時間的・空間的に展開し、物語を創作
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • アイディアの洗練(必要に応じてスケッチと物語とのチーム体制を取る)
  • プレゼンテーションのための写真撮影
最終日
午前
  • プレゼンテーション準備(KRP)
午後
  • プレゼンテーション(KRP)