ひたむきに、下向きに―。3日間、地面について考え尽くしましょう。
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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北 雄介 | 京都大学 学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット | 都市論、デザイン学 |
木村 健一 | 公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科 | 美学、情報デザイン |
山本 恭裕 | 京都大学 学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット | HCI、ソフトウェアデザイン |
街を歩いて地面を見て、得られた構想をスケッチに描き起こし、物語として編み上げることを通じて、地面の、もうひとつの可能性をデザインします。
地面はどこまでも続きます。わたしたちの住むまちでは、その地面に、何世代にもわたる多くの人々が刻印を続けてきました。いわば地面は、人類が共同で描き続けてきた、大きな大きな「一枚の絵」です。
しかしながら現在地面は、「道路」「Aさんの敷地」「Bさんの敷地」等に切り分けられ、「一枚の絵」としては捉えられていないようです。学術界においても、土木工学は「道路」や「河川敷」を、建築学は「敷地」を、経済学は「土地」を、地理学は「地形」「地層」をそれぞれ個別に扱い、全体としての「地面」の姿は見えてきません。
本テーマワークではこうした境界を排除し、地面を「一枚の絵」として構想し直します。そうすることで、「道路」や「Aさんの敷地」のデザインはどう変わるでしょうか。そして街は、どう変わるでしょうか。地面から、都市のデザインを再考します。
具体的には、初日には軽いレクチャーの後、街を歩いて、地面に残されたデザインの痕跡を探ります。それと同時に、写真を撮りだめます。
二日目には初日に撮影した写真の上に絵や文字を描き重ねる「コラージュ・スケッチ」を行なうことで、構想を立ち上げます。次に、その部分的構想を空間的・時間的に展開し、地面についての物語を編み上げます。最終的なプレゼンテーションも、コラージュ・スケッチと物語を軸にまとめます。
本テーマワークは特定の社会課題にフォーカスするわけではありません。地面にどんな可能性を見出だすかは参加者の皆様次第です。一言に地面と言っても、デザインの対象には、意匠面のみならず以下のような緒側面が含まれます(分類は便宜的)。
・意匠的側面:形態、素材、色彩、…
・工学的側面:強度、排水性、滑りにくさ、…
・意味的側面:機能、人間行動、記号、記憶、…
・物語的側面:作り方、使い方、広がり方、…
なお地面はさまざまな学問分野と関連するばかりか、誰もが普段踏みしめているものですので、参加者の専門分野やその熟達度等は問いません。スケッチを行ないますが、絵は苦手でも大丈夫です。
さまざまな学問領域を架橋する(むしろそれらに先立つはずの)包括的な概念(今回の場合は「地面」)について思考し、可能性を構築するということを、体験的に学んでいただけるのではないかと考えています。
具体的なデザインの理論や手法(下を参照)については、本テーマワーク外でも応用いただけるものになるはずです。
可能性構築としてのデザインについて、実施者(北)より導入し、参加者と議論をする予定です。
物語については、歴史物語論や、時空間的可視化手法を適宜紹介します(杉浦康平「時間地図」など)。
フィールドワークにおいては、実施者(北)の提案する"walk & write method"を導入します。
構想のスケッチにおいては、手描きを基本としたフォトコラージュを行ないます(川俣正『通路』などを参照)。スケッチの技法は、実施者(木村)より簡単なレクチャーを行ないます。