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11 ジュガード・イノベーションに学ぶ、身近でFrugalな商品企画
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製品・サービスの機能設計技術(VE)は、かつて日本の産業界に革命を起こしました。今改めて新興国の生きる力に学びながら、私たちの進むべき(進みたい)方向をぼんやりとでも描いてみたいと思っています。ファシリテータはVEの専門家ですが、ワークが生み出すアイデアは参加者の皆様次第。皆さんで新しいイノベーションを巻き起こしましょう。

実施者
氏名 所属 専門分野
川上 浩司 京都大学
デザイン学ユニット
システムデザイン(不便益)
澤口 学 早稲田大学大学院
創造理工学研究科
VE/TRIZ、技術経営、イノベーション戦略
松澤 郁夫 (株)IHI技術開発本部ものづくり推進部 VE、ものづくり技術
宮田 仁奈 (株)IHI技術開発本部ものづくり推進部 VE、ものづくり技術
小野 玲子 公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会 VE
課題内容

アジアの新興国の一般市民(“草の根”)から生まれている独創的な製品やサービス、いわゆる“グラスルーツ・イノベーション”が注目を集めています。限られた資源・資本から既にあるもの・ある技術を結合させ、コミュニティレベルでの生活改善を極めて低い環境負荷ですばやく実現する。こうしたイノベーションは技術立国として繁栄した我が国にとって、未来のものづくりの在り方に多くの示唆を与えてくれるものと思います。
 日本のものづくりの強みは「改善・現場力」にあり、これを背景とした高い品質・機能は世界的に評価されています。一方で、できなかったことができるようになり、より効率的で便利になった成熟社会で、失った楽しさや喜びに気付き、積極的に不便さを楽しもうという機運が高まっています。
 本ワークでは、新興国が生み出した製品(例えば無電源冷蔵庫、牛糞燃料製造器、木登り機など)の機能的研究(VEアプローチ)により、その製品の本質的な効用を指摘した上で、価値を高める余地や便利による害を明らかにします。そして、新次元の働きである「不便益機能」を追加し、より豊かで幸せな生活を実現する商品企画に挑戦してみてください。

教育目標
  • 社会的要求や顧客ニーズの把握、または既存製品の設計的意図や改善余地を考察する上で、「機能本位の思考」が有効かつ不可欠であることを学ぶ。
  • 参加者が現実社会で得た多くの感覚的情報や社会的な良識に基づいて問題解決に当たることで、メンバー間の文化の違いや自らの偏りを認識する。
  • 経済的成熟社会(主に先進国)における商品開発・デザインの在り方について、事例の作成を通してその方向性を探る。
デザイン理論・手法
【デザイン理論】

地域の課題・生活ニーズや既存の製品・サービスを、モノそれ自体ではなくその背景に潜む機能本位の思考(Function-oriented thinking)でとらえ直す「VE(Value Engineering:価値工学)」について、CVS(国際バリュースペシャリスト)資格を有するファシリテータがレクチャする。

【デザイン手法】

ジュガード・イノベーションの成功事例に関する調査・考察を行った上で、VE手法をベースとした機能系統図法に基づき分析し、エッセンスを抽出。その後、ブレーンストーミングやTRIZ(発明的問題解決の理論)の矛盾マトリクスを組み合わせてアイディエーション(アイデア発想)を行う。企画をまとめる際には、VE手法の「価値向上の原則」に基づいた評価を行い、企画の客観的価値を高める。

スケジュール
1日目
午前
  • アイスブレーキング
  • レクチャー(VE、機能系統図法、日本のものづくり課題)
  •  ジュガード・イノベーション事例の紹介
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • ジュガード・イノベーションの成功事例に関する調査・考察
  • 既存製品の機能分析
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • 価値を高める余地や便利による害の明確化
  • 新しい製品機能の設計、アイディエーション(アイデア発想)
2日目
午前
  • 新しい製品機能の設計、アイディエーション(アイデア発想)(続き)
午後①:昼食~コーヒーブレイク
  • 製品の顧客イメージ、使用シーン、効用、社会的意義等について整理
午後②:コーヒーブレイク~夕方
  • アイデアの洗練化
最終日
午前
  • プレゼンテーション準備(KRP)
午後
  • プレゼンテーション(KRP)