個人主義傾向者(もしくは集団主義傾向者でもOK)の不利益解消のために,心理学の基礎研究の知見をうまく利用して,実現可能・検証可能なアイディアを出すことに一緒にチャレンジしてみませんか?
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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高橋 雄介 | 京都大学 大学院教育学研究科 | 教育心理学・発達心理学 |
内田 由紀子 | 京都大学 こころの未来研究センター | 文化心理学・社会心理学 |
現代の日本社会は個人主義化していると言われることがあります。しかし,個人主義と言う場合,「自己独立で,芯が強く,自分に対して自分で責任を持つ」というどちらかと言えばポジティブな印象と「自己中心的で,他の人のことには特には興味を示さず,冷たく,我を通す」というどちらかと言えばネガティブな印象の両方があると考えられます(Ogihara et al., 2014)。
しかし一概に,個人主義化しているとは言っても,就職活動生たちの格好を見て,まるで個性が無いではないかと感じることもあります。一方で,組織の中で調和を重んじる風潮がなくなったわけではありません。それでいて,一点突破型の創造性を発揮せよ,イノベーティブに発案せよ,と言われます。そして,それをしようとして,意を決して飛び出ようとすると打たれます。もはや意味が分かりません。
現代日本社会の個人主義化はポジティブな帰結を生み出しているのでしょうか。日本において,個人主義傾向の高い個人は親しい友人の数が少なく,主観的幸福感も低いという結果が得られています(Ogihara & Uchida, 2014)。そして,この傾向はアメリカ人では確認されませんでした。
社会や文化が個人主義的であるということは,日本の個々人が個人主義的に行動しているということに他ならず,それが主観的幸福感や友人の数の減少に影響を与えているのであれば,日本における個人主義社会・文化において,個人が孤立しないような仕組みや制度を設計することが求められていると考えられます。
そこで,本ワークショップでは,個人主義傾向の高い個人であっても,社会的な健康を損なうことなく,文化的に適応することのできるような仕組みや制度について,科学的な根拠に基づいて提案することを目指します。
本ワークショップの教育目標は,(1) 日本人を含む人間の特徴などに関する個人差心理学・文化心理学・社会心理学の知見に関して理解を深め,(2) それらの基礎的な研究に基づく知見と実際の生活場面とを出来る限り乖離なく結び付け,(3) ふだんの生活を有意義なものにするための計画・仕組み・制度を科学的な根拠に基づいて論理的に提案する,という3点です。
人間の認知構造の理解のために,社会心理学・文化心理学に関する諸理論およびモデルについて学び,それらを実際の生活場面・社会的場面へと応用する。(アドバイザが,当日にミニ・レクチャーを行い,事前に参考文献も提示する。)
【デザイン手法】