電子工作などの技術的な経験は不問です.
一緒に「京都」を聴いて、「京都」を聴かせる「仕掛け」を考えましょう!
氏名 | 所属 | 専門分野 |
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小山純汰 | 京都大学情報学研究科 社会情報学専攻(デザイン学本科生) | 人工知能,情報学 |
岸本隆平 | 京都大学工学部情報学科 | 情報学 |
伊多波智明 | 京都大学情報学研究科社会情報学専攻(デザイン学予科生) | 非言語コミュニケーション,不便益 |
Yun Bumjin | 京都大学経営管理大学院 | サービス |
近年外国人旅行者の増加に伴い,日本文化を代表する都市である京都でも年々観光客数が増加しています.京都には寺社仏閣をはじめとする日本古来の魅力が数多く残されています.それは景観という観点のみならず,それらの豊かな環境が包含する「音」環境もまたその美しさを体現するものであるといえます.しかし近年観光地における外国人旅行者による騒音が問題となっています.こうした問題は根本的な問題ではなく,音環境への関心の希薄さや魅力がうまく伝わっていないという問題を原因として発生した結果であると考えられ,これは外国人旅行者についても,また日本人についても言えると考えられます.一方日本では古くから,ししおどしや石庭などをはじめとして,音の美しさやサインとしての音を生活に取り込もうという音環境に関する知恵の痕跡が多く見受けられます.
目に見えない音をもとに環境と人間との関係を再認識しようというサウンドスケープの考え方では,これまで「川のせせらぎを聴く遊歩道」など「静的」で「明示的な」デザインが試みられてきました.しかし「静的」なデザインでは環境や人間に対応してカスタマイズするにはコストがかかります.また「明示的な」デザインでは音環境に認識を持つきっかけにはなりますが,本質的な問題として無意識に音環境を認識できているかという点については依然として疑問が残ります.
本テーマでは,フィールドとして日本文化を代表する都市である京都を選定し,京都を訪れる人々に京都の音環境に関する気づきを与える新しい「仕掛け」を,先人たちの知恵から学びながら,近年トレンドとなっているInternet of Things(IoT)技術を用いてデザインすることを目指します.IoT技術を用いると,再利用可能なデバイスをもとにゆるく仕掛けをを構築できるため,環境や人間の動的な変化に対してカスタマイズが容易です.またバックグラウンドで状況を判断し,何かのアクションを返すことができるので,明示的ではない「仕掛け」を作ることに適していると考えられます.そういった意味で,IoTはサウンドスケープデザインについて親和性が高いといえます.
本テーマでは,第一に「身近な音環境の存在やそのあり方について意識するようになること」を目指します.またフィールドワークによって得られた問題をIoT技術によってどのように解決することができるかという「IoT技術の適用に関するリテラシー」をプロトタイピングを通じて習得します.