課題内容
日本における高齢単身世帯(65歳以上の単身の主世帯)の数は近年増加の一途をたどり、平成25年の調査では552万世帯になったと報告されています(「平成25年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局))。これは、全世帯のうちの一割が高齢単身世帯であるということです。
高齢単身世帯の増加によって引き起こされる問題としては、世帯の収入源確保や保険医療費・介護費負担などの経済的な問題、支援や介護を含む一人暮らしの日常生活面の問題、病気やけがに対する対応の問題、社会における孤独化の問題などがあげられます。親が高齢単身世帯であるときに、その子どもが早期に離職して親の生活支援を行うという事例も見られます。これも労働力の損失という、社会にとって重大な問題であるといえます。これらの問題は、直接的に解決することはできない問題です。そこで、本テーマではまず、高齢単身世帯の増加という状況を深く分析することで、解決可能な問題を発見したいと思います。
解決できる問題が発見できたら、次に、それらの問題の中から、最新の情報技術を利活用することで解決できる問題について取り上げます。そして、その問題解決に取り組みます。
本テーマでは、創出したアイデアを可能な限り具体的な「形にする」ことに取り組んでいただきます。アイデアは形にしなくては正しい評価が難しいものです。実施者は様々な情報技術、たとえば、プログラミング、フィジカルコンピューティング(小型コンピュータ、各種センサ、モータなどを用いたコンピュータと触れられるモノを融合させる工作・IoT)、デジタルファブリケーション(3Dプリンタやレーザーカッターを使ったものづくり)などの専門知識と技術を持っています。それらをうまく利用して、アイデアの実現を目指しましょう。
教育目標
情報技術を利用することで、ある場所の状態(環境、動き、位置など)を把握すること、モノを自在に操作すること、それらの情報を遠くはなれた場所からインターネット経由でやりとりできることを学びます。
ワークショップでは、問題を解決するデザインをおこなうことになります。解となるデザインが局所的最適解に陥らず、また、そのデザインが局所的最適解ではないことを自信を持って主張するには、広大なデザイン解空間をある程度網羅的に探索したという事実、すなわち、大量のアイデアを考えて検討したという事実が重要になります。そこで、様々な手法を用いて大量のアイデアを創出する方法を学びます。
アイデアが創出されたからといって、そのアイデアがどの程度本当に良いものであるかを正しく評価するのは困難です。そのアイデアを基にして、デザインが実現されたときの真の評価に近づけるためには、プロトタイピングが必要になります。そこで、素早くプロトタイピングを行う手法を学びます。